過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田植えと除草剤

ぼくの子どものころは、田んぼにはいろいろな生き物がいた。タニシ、ドジョウ、タガメ、フナ、メダカ。踏んづけても死なないシーラカンスみたいなライギョという魚もいた。指を食いちぎるくらいの獰猛さがあった。また、収穫の頃には、イナゴの大群が空中を舞っていた。それを虫取り網で捕まえて、佃煮にして食べたことがある。

でも、そんな生き物はいまはほとんど見られない。田んぼに除草剤をまくからだ。ほとんどの農家は、除草剤を使う。一回限りとか二回とかの差はあるくらいで。それでも田植えに水を貼るころには、カエルの大合唱。あれって、カエルは除草剤には強いからなのかな。あるいは、除草剤をまく前の時期だけのことかな。まあしかし、ほとんどの生き物はすがたを消した……。

まかれる除草剤って、稲だけが枯れることのない除草剤ってことだけど、いろいろな生き物がいなくなってしまうのだから、人間に安全なわけがないよね。除草剤って、いわばベトナム戦争の時に使った枯葉剤みたいなものだし。

無農薬で栽培するのは、とてもたいへん。まさに、這いつくばって毎日、毎日、草をとらなくちゃいけない。その労力、時間はたいへんなもの。でも毎日いただくお米だから、やはり安全なものがほしい。自分の分だけの栽培なら、それでもできるかもしれない。今年は無理だったけど、来年は田んぼ一枚分、無農薬でやってみたい。