過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

日はかたむいて下り坂

人は老いるとますます不自由になっていくという「あたのまえのこと」が、この歳になってじわじわとわかってくる。▲いま59歳になったけど、目がしょぼしょぼしてくる。歯もよくない。病気で寝たことなどほとんどなかったのに、帯状疱疹やら日光アレルギーやら、いろいろ病にかかった。これから元気になっていくってことは、まずないな。ますます衰えて不自由になって、下り坂を歩む人生なのは間違いない。

肉体が衰えても、しかし、心はそうじゃない。経験を積んで智慧もつくし、分別もきく、自制心も強くなる。……そう思いたいところだが、どうもそうでもないな。▲歳とると短気になるし、わがまになるし、我欲が強くなって、なかなか自制心も効かないみたい。頭の働きも鈍くなるのはもちろんのこと。

ただまあ、救いは、あることはある。自分の限界というか、ダメさ加減というか、いつも繰り返す失敗のパターンがみえてくる。そこに気がつくと、ほどほどの生き方になるかもしれない。▲なんというか「滅びを受け入れる」ってところかなあ。そこがほんとうにわかれば、大したことだけどね。まだまだ滅びにはいたらないよと、がんばろうとしている。

しかし、先人はえらかったね。芭蕉は翁といわれて古老で枯淡のイメージだけど、なんと享年51。奥の細道を歩いたときは、46歳。鎌倉期の坊さんもすごい。親鸞は長生きしたけど、道元は享年54。日蓮は61。一遍は51。みんなすごいね。