過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

なんの音か。ノミが苦しくて飛び跳ねる音

パチパチ。パチパチ。雨だれのような音がする。それが10分も20分も続いた。

なんの音か。ノミが苦しくて飛び跳ねる音。ノミが飛び跳ねても部屋一面にかぶせた新聞紙にあたって逃げられない。また跳ぶ。ぶつかる。それを繰り返して、力つく。
その時、数百、いや数千匹のノミがいたかも知れない。
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ノミの話で、共通体験の友がいた。これわかる人って、なかなかいないんだよね。
高校の同級生を訪ねた。建築家だ。それで、ネコの話。ノミが繁殖して家中呑みだらけになったという話で盛り上がった。

うちは猫を飼っていた。外猫がなついていつもやってきた。あるとき押入れで子を生んだ。

夜明け近くに子猫が生まれた。生まれるときの息遣いがよくわかった。そうして、子どもを生む時、オス猫が二匹、見舞いに来ていた。母猫は怒ってなかった。たぶん父親なんだろうね。しかし、不思議なことに二匹。どちらかが父親なのか、あるいは両方が父親ってこともあるのかな。

生まれた猫は、4匹だった。それはそれは可愛いものだった。
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しかしだ、やがて大きな問題がでてきた。
ノミが湧いてきたのだ。部屋中がノミだらけとなった。

当時はフロントラインのような薬を知らなかったので、せっせとノミ取り櫛でとっていた。
ひとかきで数匹取れる。それをバケツの水の中に入れて殺す。界面活性剤を入れておく。そうしないと、表面張力でノミは跳んでしまう。

しかし、やはり脱出するノミがいるわけで、いつしかノミが蔓延する家になってしまった。
お客さんが来ると、もうノミがズボンについてくる。かゆくてたまらない。
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蚤取粉を畳に撒いた。しかし、ノミのジャンプ力はものすごい。体長の約200倍、30~40センチも跳ぶ。垂直方向に跳ぶ場合は体長の50倍、水平方向に跳ぶ場合は体長の100倍という。

なので、いくら蚤取粉を蒔いても埒(らち)が明かない。家の中はノミだらけ。さて、どうしたらいいか。
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当時はネットがなかった。友人が教えてくれた。
①蚤取粉をくまなく撒く。
②すぐに新聞紙を敷く。
③そうすると、ノミはジャンプしても新聞紙に当たるので、逃げられない。ついには、蚤取粉で悶て死ぬ。

うん。それをやってみよう。
梅雨時のある日、それを実行した。
蚤取粉を蒔いて、すぐに新聞紙を敷く。
すると、どうだ。ノミが苦しんで悶て跳ねる音の続いたのだった。
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以来、ノミはぱったりといなくなった。
そして、心配していた子猫たちの嫁ぎ先も決まった。
「一日でいいから」と貸し出した。そうすると、もう返す人はいない。

また、猫を飼うかなあ。うちのランがかぶっとやるのが心配。