過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

じゃあ、どうして勉強しなくちゃいけないの?

あかりが「なぞなぞ」を聞いてくる。「 何とかでなんとかなものなーんだ?」というやつ。 
 
ーーあのね、おとうちゃんはそういう、もう答えが用意されているものに対して答える気がわいてこないんだよね。その本を書いた人のマンネリ、出版社のマンネリが感じられてね、 疲れちゃうんだよね。
 どうせなら、何か一緒に考えて 楽しめるものならいいんだけど

「うーん。たとえばどんなこと?」

 ーーたとばね 、どうして学校に行かなきゃいけないのかとか、どうして勉強しなくちゃいけないのか、とかね。

 「じゃあ、どうして勉強しなくちゃいけないの?」

  ーーそもそも 勉強って何なんだろうね。
 「それは 算数とか。国語とか」

ーーそうだよね。 それはね、生きるために必要なことなんだよね。
たとえば数の勘定ができないと困るでしょ。 字が読めないと困るでしょ。字が書けないと困るでしょ。

一番大事なのはね、生きるための勉強だよね。
火をおこせるか。料理ができるか。野菜を育てられるか。 木登りができるか。動物が捕まえられるか。

 それが生きた勉強だよね。食べ物も自分で作れない。 料理もできない。ひととちゃんと会話ができないと、生きていけなくなるでしょ。 だから 生きていくためのもの、それが 勉強だと思うよ。

 「ふうん、そうか」

ーーあかりちゃん何になりたいんだっけ

 「あかりちゃんはね、パン屋さんになりたいの」

ーーそうだったよね。あかりのパン屋さん。いいね。
そしたら、まずパンの作り方をおぼえなくちゃいけない。お客さんが来たとき「いらっしゃいませ 」と明るく声がかけられるとか。「今日はいい天気ですね」と会話ができるかね。

それから「はい 全部でいくらです」と言ったら 「じゃあ 1000円でお釣り」と言ったら パッと計算できないといけないでしょ。

そういうふうに生きていくために身につけていくワザが勉強だと思うよ。
 
本当は自分が一番やりたいことを見つけて、それに熱中するのがいいんだけどね。今はそれを探すっていうことになるかな。たくさんあそぶってことかなあ。