──明日、学校でテストがあるんだってさ。
みんなと一緒に受けてもいいし、ひとりだけで受けてもいいし。
受けなくてもいい。あかりは、いくかい?
「テストかあ……。う〜ん、どうしようかなあ」
──自分できめればいいよ。
「おとうちゃん、テストって好きだった?」
──おとうちゃんは、好きだったよ。
「どうして?」
──だって、自分の力試しになるでしょう。
どこができて、どこができなかったかがわかる。
できなかったところは、あとで自分で勉強していけば、もっとわかるようになる。わかるようになると、おもしろくなる。
「そうかぁ」
──だから、自分の力試しと思ったらいい。人と比べて、できたとかできないじゃなくて、あくまで自分の力試し。
「うん。力試しならいいね。じゃあ、行く。」
──きっと、おもしろいと思うよ。
「マスクは必要かなあ」
──マスクなんてつけなくってもいいよ。教室で一人だから、3密回避だしね。
というわけで、あかりは、明日、午後にひとりで学校に出かけてテストを受ける気になった。とくに、そういうふうに誘導したわけじゃないんだけど。