あかりと外に出た。
──おお、寒い。お月さまが輝いてきれいだね。
「ねえ、おとうちゃん。この世界はだれがつくったの。神さまなの?」
──うーん。神さまかもしれない。神さまみたいなひとがつくったんだね。だけど、だれも会ったことはないんだね。
「1億年くらい前なの?」
──もっと前の前の、もっと前の前のときだね。そしてまた、その前、その前の、その前のむかし、そしてまたもっと前があって……。
「そんなむかしに神さまがいたんだね」
──そうだね。それは、ブラーフマンともいえるよ。
「ブラーフマンかぁ」
──そうブラーフマン。それをヴィシュヌがちゃんとメンテナンスして、シヴァが壊してしまう。その繰り返し。作っては壊し作っては壊し。
「どうしてシヴァが壊すの? もういいってことで、壊しちゃうの?」
──うん、それはね、壊すというのは、新しい創造なんだよね。
新しいものが創られるためには、古いものは壊さなくちゃいけないってことだよ。
「ふーん」
あかりは、よくインドの猿の神さまハヌマンのアニメをみているので、インド神話に詳しくなってきた。パラメシュワラ(至高の存在)というような単語もすんなり出てくる。
そのうち、落ち着いたら家族でインドを旅したい。もしかしたら、インドで暮らすようになるかもしれない(笑)