過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

葬儀から納骨まで、どれくらい費用がかかるものなのか

「葬儀から納骨まで、どれくらい費用がかかるものなのか」。四十九日の喪に服していたTさんに聞いた。
 
ざっと総額200万円という。そのうち寺院へのお布施は50万円という。菩提寺のお墓へ納骨するので、新たに墓石や永代使用料は必要ない。
 
葬儀には、だいたいそれくらいかかるようだ。全国の葬儀費用の平均(日本消費者協会)が200万円。ざっくりした内訳は、葬儀の費用が120万円。飲食接待が30万円、寺院へは50万円。
 
お布施の内容は、枕経・通夜・告別式の法要。初七日〜四十九日の七日ごとに、お坊さんが来てお経をよむ。戒名、車代、納骨の際の法要など。
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世の中は、こういうサービスにはいくら、と料金が決まっている。ところが、寺院へのお布施というのは、きまっているようないないような。全日本仏教会は「布施に定価はない」という。檀信徒のこれまでの寺院への貢献度も加味されるか。
 
「いくらでも結構です」という寺院もある。ほんとうに「いくらでもいい」のか。
 
そうはならない。やはりそこは、寺院経営のためにも、相応の費用は要求される。はっきりと「いくら」という寺院もあるし、葬儀社から「お宅さまなら、これくらい」と言われる場合もある。お布施が少ないと言われて、追加を求められた人もいる。
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この山里では、「お寺とのお付き合いはお金がかかる」というので、集落をあげて神道にかわったところもある。
 
檀家だと、葬儀の費用だけではなく、さまざまな寄付が求められる。晋山式(あたらしい住職に替わる法要、だいたいは住職の子が継ぐ)など一千万円もかかると聞く。また、御遠忌(宗祖が亡くなって何百年)、本堂や庫裏、客殿、位牌堂、山門の改修など、たびたび寄付をもとめられたりする。
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家族葬、密葬、直葬(病院からいきなり火葬場での法要)が流れだ。樹木葬や海洋葬も、違和感がなくなってきている。極端な場合、「ゼロ葬」として遺骨を引き取らない(火葬場が産業廃棄物として処理)ことだってある。
 
よくインドを旅しているが、ヒンドゥー教は墓を作らない。遺体は火葬にして、灰にしてガンジス川などに流される。インド人は、ものすごい渾身の祈りで供養や歌を捧げていた。その姿を日常的に見て感銘したものだった。
 
自分が死んだらどうされたいか。
 
遺族のグリーフワークとしての葬儀には意味があると思うが、自分自身は葬儀など必要ない。もう死んでしまって、この世にはいないわけだし。
 
もしも、霊的に存在したとしても、葬儀でお経をよまれても嬉しくはないだろう。家族だけで偲んでくれればいい。戒名不要。坊さんのお経不要。お墓いらない。入りたくもない。
 
粉末にして、畑にまくか、川か海に流してくれればいいと思っている。