過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

こいわいのは「圧迫骨折」

「いまバス停にいるので、家に送ってほしい」と頼まれた。86歳の友人。去年、夫を亡くし3年前には一人娘を亡くした。親戚も近くにいない。まったくのひとり暮らし。
「圧迫骨折」を起して診療所に行った帰りだという。こんな山里だと、整形外科とか大病院はクルマで1時間以上かかる。
クルマを運転できなければ、バスで乗り継いでいく。山里はバスの本数がほとんど無いので、一日がかり。乗り継ぎの待ち時間は炎天下。ヘトヘト。まさに、いのちがけ。
ぼくは「役に立つ」のなら、もうなんでもしますよ。気にしないでね。
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年をとると「圧迫骨折」を起こしやすい。骨粗鬆症(こっそしょうしょう)のある女性に多いのだが、頑丈な男性でも起きる。
山里の友人の4人が、圧迫骨折を起した。洗濯物を干していて転倒して骨折(84歳)。宴会で浴衣を着て立ち上がる時、裾を踏んづけて倒れて骨折(82歳)。転倒していないのに、自然と骨折(86歳)。
酒ばかり飲んで栄養不足から骨がもろくなって骨折した友人(58歳)は、たまたま半年ぶりに訪ねた時、倒れていた。その場で即、救急車を手配したのだった。
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「圧迫骨折」は、背骨などが楔状につぶれる。すると、背骨の後方への突出を起こす。身体機能は低下する。痛くて眠れない。
自分で何事もできなくなるので、他人へ依存することになる。自尊心が低下する。萎縮する。つねに痛みが伴う暮らしから、うつ病などをきたす。
骨折したら、普通の日常生活を送るのは困難となる。たのしいはずの山里暮らしも、つらいものとなる。畑仕事も、草刈りも、買い物も、風呂にはいることも、とにかく不自由になる。
こわいのは、長期入院となると筋力と意欲と認知能力の低下を起こすこと。高齢者の安静臥床は、1日約1.5%の筋力低下をまねくといわれる。
10日で15%。30日で45%ということになる。せん妄(注意力や思考力の低下、見当識障害)が起きたりもする。
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ということで、とても大切なのが、「転倒予防」。
股関節のストレッチ。注意深く歩くこと。常日頃の歩行。杖。歩行補助具。そして、家の段差、転倒予防のバーなど。多方面に注意を払わなくちゃいけない。
自分も含めて、そのあたり「転倒予防のワーク」を探求していこうと思う。