過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

山里の高齢化の現実は、これからの日本のありようを示す

Mさんはひとり暮らし。86歳。圧迫骨折を三度もして、背中と腰が痛くてつらい。でも、ずっと家にいたら、気が重たくなる。
 
「きょうは痛みが少なく、いけそうだ」。そんな連絡があれば迎えに行くというスタンス。近くなので、かなり自由に対応できるようにしている。
 
施設にくれば、気が紛れる。なにより、いろいろな人とのお喋りができる。PPバンドで籠を作ったり、歌をうたったり、一緒に料理したり。朝の連続テレビ小説おしん」や「澪つくし」、大河ドラマの「西郷どん」などの映像も見る。
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Mさんは、夫を亡くし、ひとり娘も亡くした。遠方から山奥に嫁ぎ、さらにこちらに移住された。山奥の集落はすでに消滅した。近くに親戚はいない。近くの友人たちは、みんな高齢になり、訪ねたり訪ねられたりがなくなってきた。
 
「これから先、どうなるのか……」といつも心配される。体が動かなくなった時、どうするか。だれがサポートしてくれるか。施設(特養や老人ホーム)に入るとしたら、どういう暮らしになり、どれくらい費用がかるのか。そのために、いま何をしておけばいいのか。リアルな悩みだ。
 
先のことを案じても仕方がない。一日一日を精一杯生きる、それだけ。とはいうものの、やはり打てる手は打っておきたいと悩んでおられる。
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スマホに切り替えたので、その使い方を教えてさしあげた。遠方の二人の妹と、つねにスマホでお喋りするのが、ひとつの支えに。
 
これからの高齢化社会、ひとり暮らしの高齢者が増えてくる。もしものとき、どのようにしたらいいか。どのようになっていくか。そのためには、いまどうしておいたらいいのか。
 
山里の高齢化の現実は、これからの日本のありようを示す。