過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

もらい乳と、重湯で育てられた

10歳のとき、妹が生まれて嬉しかった。
ところが、お母さんは栄養不足のためか、乳が出ない。当時は、戦争中で、ミルクも配給制で満足にもらえない。
Mさんは、毎朝、小学校へ行く前に妹をおぶって、近所にもらい乳に行った。
妹は、そのもらい乳と、重湯で育てられた。
そのため栄養不足で、妹は体格は小さかった。小学校1年生のときは、何センチ、2年生のときは何センチという数値を、Mさんはしっかり覚えておられた。
おためし体験として施設にこられたMさん(86歳)。はるか遠方から介護のためにきてくれている妹さんも一緒に。
この仕事は、人生のリアルなドラマが響いてくる。そこがおもしろいところであり、なかなか切実。人が次第に弱っていく過程に、しっかりと寄り添うということでもあるから。