過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた。

日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた。
アメリカから石油の八割を輸入していた日本が、アメリカに戦争を仕掛ける愚かさ。
石油が止まれば、軍艦も飛行機も戦車も輸送船もトラックもすべてが鉄くずでしかない。
アメリカからの石油の輸入が止まったために、南方の他国の石油を略奪に行った。それが、大東亜戦争の目的であった。「大東亜共栄圏」という、東洋民族解放は、たんなる旗印、自己正当化のお題目に過ぎないのかも。
百田尚樹「海賊と呼ばれた男」から引用。800頁近く。やっと読了。以下、一部、引用。
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二人があらためて確認したのは、戦前の日本政府の石油政策の拙さだった。
大東亜戦争は極論すれば「石油のための戦争」であった。
戦前、日本はアメリカから石油の八割を輸入していたが、それを断たれたためにアメリカとの戦争に踏み切ったのだ。
そして南方の油田を確保したが、制海権を失って、その石油を国内に還送する手段を奪われたとき、戦争継続は不可能となった。
「日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた」。
(中略)
聯合艦隊アメリカ海軍に多くの海戦で敗れましたが、この敗因のいくつかは石油が足りなかったためです」
「そうだったのか」鐵造は言った。
「石油さえあれば、勝てた戦もあったということか」
「たとえば、ガダルカナル島をめぐる戦いは大東亜戦争分水嶺ともなりましたが、実は海軍は総力戦をおこなうことができませんでした。
半年にわたる激戦の間、日本海軍は世界最大の戦艦『大和』と『武蔵』は一度も出撃させませんでしたが、それは石油を節約するためでした。
なぜなら『大和』の燃料消費量は莫大で、トラック島からガダルカナルに出撃するだけで、大量の重油を消費することになったからです。
ちなみに『大和』は一日港に停泊しているだけで、駆逐艦なら八○○キロ前後も行動できるほどの重油を消費しました」
正明が驚いた声を上げたが、武知は淡々と語った。
「また昭和十八年にガダルカナルの戦いに敗れてからも、海軍は石油が足りないために大きな艦隊作戦を展開することができず、そのため貴重な一年という時間を失いました。
その一年でアメリカ軍は驚異的な増強を為し、彼我の戦力差は圧倒的になりました。十九年には、海軍は各島に基地航空隊のあるマリアナ諸島海域でアメリカ軍を迎え撃ちたかったにもかかわらず、石油が足りないために艦隊をそこまで出撃させることができませんでした。
そのために迎撃に備えていたはずの基地攻撃隊をむざむざと壊滅させられました。これもガソリン不足のために偵察機をふんだんに出せず、米空母の接近を察知することができなかったためです。
飛行機の搭乗員の訓練もままならず、挙げ句、乾坤一擲のマリアナ沖海戦で大敗しました」。
鐵造は黙って頷きながら、一国の命運を握っているのは石油であるという信念をあらためて強くした。
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海賊とよばれた男百田尚樹著 より

 

日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた。
アメリカから石油の八割を輸入していた日本が、アメリカに戦争を仕掛ける愚かさ。
石油が止まれば、軍艦も飛行機も戦車も輸送船もトラックもすべてが鉄くずでしかない。
アメリカからの石油の輸入が止まったために、南方の他国の石油を略奪に言った。それが、大東亜戦争の目的であった。「大東亜共栄圏」という、東洋民族解放は、たんなる旗印、自己正当化のお題目に過ぎないのかも。
百田尚樹「海賊と呼ばれた男」から引用。800頁近く。やっと読了。以下、一部、引用。
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二人があらためて確認したのは、戦前の日本政府の石油政策の拙さだった。
大東亜戦争は極論すれば「石油のための戦争」であった。
戦前、日本はアメリカから石油の八割を輸入していたが、それを断たれたためにアメリカとの戦争に踏み切ったのだ。
そして南方の油田を確保したが、制海権を失って、その石油を国内に還送する手段を奪われたとき、戦争継続は不可能となった。
「日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた」。
(中略)
聯合艦隊アメリカ海軍に多くの海戦で敗れましたが、この敗因のいくつかは石油が足りなかったためです」
「そうだったのか」鐵造は言った。
「石油さえあれば、勝てた戦もあったということか」
「たとえば、ガダルカナル島をめぐる戦いは大東亜戦争分水嶺ともなりましたが、実は海軍は総力戦をおこなうことができませんでした。
半年にわたる激戦の間、日本海軍は世界最大の戦艦『大和』と『武蔵』は一度も出撃させませんでしたが、それは石油を節約するためでした。
なぜなら『大和』の燃料消費量は莫大で、トラック島からガダルカナルに出撃するだけで、大量の重油を消費することになったからです。
ちなみに『大和』は一日港に停泊しているだけで、駆逐艦なら八○○キロ前後も行動できるほどの重油を消費しました」
正明が驚いた声を上げたが、武知は淡々と語った。
「また昭和十八年にガダルカナルの戦いに敗れてからも、海軍は石油が足りないために大きな艦隊作戦を展開することができず、そのため貴重な一年という時間を失いました。
その一年でアメリカ軍は驚異的な増強を為し、彼我の戦力差は圧倒的になりました。十九年には、海軍は各島に基地航空隊のあるマリアナ諸島海域でアメリカ軍を迎え撃ちたかったにもかかわらず、石油が足りないために艦隊をそこまで出撃させることができませんでした。
そのために迎撃に備えていたはずの基地攻撃隊をむざむざと壊滅させられました。これもガソリン不足のために偵察機をふんだんに出せず、米空母の接近を察知することができなかったためです。
飛行機の搭乗員の訓練もままならず、挙げ句、乾坤一擲のマリアナ沖海戦で大敗しました」。
鐵造は黙って頷きながら、一国の命運を握っているのは石油であるという信念をあらためて強くした。
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海賊とよばれた男百田尚樹著 より