過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

石原莞爾の「最終戦争論」を読んでみた

満州事変は、軍部(参謀本部)が謀略し、独走して勝手に起こした。参謀本部は、三権分立を越えた「統帥権」(とうすいけん)をもっていたような存在であった。「天皇」の名のもとに、好き勝手な動きを起こしていった。

やがて、満州帝国を作り上げてゆく。そして、それは内閣が追認する。この満州の支配が、アメリカとの戦争を起こす引き金となる。

参謀本部はどのような意識で国家の拡大をしようとしていたのか、それを見てみたい。

参謀の中核にいたのが、石原莞爾(いしはらかんじ)である。彼の講演録(昭和15年)である「最終戦争論」を読んでみた。

天皇」を世界の盟主とする共同体をつくろうという意識であり、また、熱心な日蓮信徒でもあった石原は、いわば日蓮の予言によって、最終戦争が起き、やがて世界は統一され平和な世界が訪れるとも述べている。

以下、一部引用する。
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天皇が世界の天皇で在らせらるべきものか、アメリカの大統領が世界を統制すべきものかという、人類の最も重大な運命が決定するであろう。

即ち東洋の王道と西洋の覇道の、いずれが世界統一の指導原理たるべきかが決定する。悠久の昔から東方道義の道統を伝持遊ばされた天皇が、間もなく東亜連盟の盟主、次いで世界の天皇と仰がれることは、われわれの堅い信仰であります。
(中略)
明治維新で藩侯に対する忠誠から天皇に対する忠誠に立ち返った如く、東亜連盟を結成するためには民族の闘争、東亜諸国の対立から民族の協和、東亜の諸国家の本当の結合という新しい道徳を生み出して行かなければならない。その中核の問題は満州建国の精神である民族協和の実現にあります。
(中略)
この大事業を貫くものは建国の精神、日本国体の精神による信仰の統一であります。

(中略)
日蓮聖人は将来に対する重大な予言をしております。日本を中心として世界に未曽有の大戦争が必ず起る。そのときに本化上行(ほんげじょうぎょう※池谷注:久遠本仏の釈迦によって、末法において布教を託されたとされる菩薩)が再び世の中に出て来られ、本門の戒壇を日本国に建て、日本の国体を中心とする世界統一が実現するのだ。 世界の大戦争があって世界は統一され本門戒壇が建つという予言をしておられる。
(中略)
日蓮聖人が前代未聞の大闘争につき、最初は利益のために戦いつつも争いの深刻化するに従い、遂に頼るべきものは正法のみであることを頓悟して、急速に信仰の統一を来たすべきことを説いているのは、最終戦争の本質をよく示すものである。
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石原莞爾 最終戦争論 昭和15年5月29日 京都義方会に於ける講演速記より)