あかり:「こころ」ってなあに?
おとうちゃん:「こころ」っていうのはね、さみしいとか、かなしいとか、いやだーとか、うれしいとかね。そういうのが「こころ」なんだよ。
あかり:じゃあ、ココアとどうちがうの?
おとうちゃん:ココアは甘くておいしいのみものだよね。あかりちゃんが大好きな。
「こころ」もココアみたいに甘くてうれしいときもあるし、おとうちゃんが大好きなコーヒーみたいに、にがいときもあるんだよ。
……というような会話をした。わかったかなあ。わからないだろうなあ。心を説明するのは、難しい。あかり3歳。
「ヘレン・ケラー自伝」に、Waterが水だという気づきが書かれている。いま触っているそのものがWaterだ。モノには名前があるんだという大発見。そこから、この世に存在するものには、すべて名前があることがわかる。次々と、名前を覚えていく。
ところが、心の働きにまで名前があるところまで、理解が進まなかった。
あるとき、ヘレンが考え事をしている。「考え」とサリヴァン先生が教える。
その時、考えとthinkが結びつく。そうしてやがて、愛ということも気づいていく。心の働きにも、名前があることが体得されるのだった。