過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

天国に近い「南の島であの世へ旅立とう」という、新しい「看取りビジネス」

天国に近い「南の島であの世へ旅立とう」という、新しい「看取りビジネス」……なるほど。

引用箇所は、この本の趣旨とはちがうところにあるけれど。ちょっと面白いので、一部を紹介。

上野千鶴子著「情報生産者になる」(ちくま新書)から。読みやすいように改行は、池谷が行っている。
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孤独死」はますます「死ぬ側」の問題ではなく、迷惑をかけられる周囲、すなわち「死なれる側」の問題だ、ということになるでしょう。

男性の離別・非婚に、失業や貧困などの社会経済的要因が大きく関わっていることはわかっていますが、同じく貧困に苦しむ離別・非婚女性の「孤独死」件数は少ないのですから、貧困だけが問題ではなく、ジェンダーが関わる「孤立」が問題のようです。

困難を抱えたまま「助けを求めない」のは、「助けを求められない」男性問題だ、ということもできます。そうなればここでは、「男らしさ」に関わるジェンダー理論を採用することもできるでしょう。

最近、石垣島に死に場所を求めて中高年の男性単身者が移住してくる、という話を、地元の訪問看護師さんたちから聞きました。

アパートを借り、年金生活をし、周囲と交わらず、地元に溶け込まないが、病気になれば医療保険を使い、要介護になれば介護保険を使うそうです。

家族はいない、いても知らせるなときっぱり。それでも死後の後始末は自分ではできませんから、死亡届から火葬、お骨の後始末まで、ケアマネさんや訪問看護師さんが善意で負担していますが、その数が例外と言えないほど増えてきて、困っているとのこと。

これなど自分で選んだ在宅死、しかも行政のサポートを受けて早期発見の手当をしたうえの周到な孤立死ですから、ご本人にとっては本望かもしれません。

もし死後の後始末を業者が有償で引き受けるしくみがあれば、自治体には税収も発生します。

いっそのこと、ここまでお世話になった自治体に、わずかな資産でも遺贈してもらえば、不謹慎ですが、天国に近い「南の島であの世へ旅立とう」という、新しい「看取りビジネス」が成立するかもしれません。
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