過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

地下鉄サリン事件から24年目

地下鉄サリン事件から24年目(1995年3月20日)。その前年には、松本サリン事件(1994年6月27日)があった。ともにオウムの仕業である。
サリンの被害者なのに、犯人扱いされた河野義行さんの講演を聞いたことがある。
-----------------
河野さんの奥さんは、サリンのために脳死状態。そして、河野さんは、まるで殺人犯人扱い。
後遺症の残るなか、無言電話、「この町から出ていけ」といういやがらせ電話が、毎日、30本以上。それは、半年も続いたという。
警察は、河野さんをいきなり犯人扱い。自白させるようなことを繰り返す。息子さんにも、「オヤジは自白した。お前もサリンの隠し場所を教えろ」という取り調べを行った。
マスコミはこぞって、犯人扱いした。「逮捕が近い」という報道もされた。
----------------------
河野さんは、無言電話には、「お話がなければ、切らせてもらいます」と丁寧に対応した。
娘さんが電話に出ると、「出ていけ。死ね」という声がする。そんなとき、「父はあなたと話をしますので、ぜひ家においで下さい」と伝えた。嫌がらせの相手を、けっして怒らせないようにしたという。
そうした人は、気の毒な人で、そういう人とまともに争ってはいけない。いちだん高い心で接しないと、自分たちのほうが潰されてしまう。そのような思いで暮らしてきたという。
----------------------
そんな日々でも、心が潰れずに戦ってこれたのは、自分を信頼してくれる友人がいたからだ、という。
「たった一人でもいい。自分を信頼してくれる人があれば、戦える、耐えられる」と河野さんは語っておられた。
河野さんへの容疑は、地下鉄サリン事件によって、晴らされたのであった。