過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

山林大地主との話

今日は山林大地主との話。あちこちに土地がある。案内してもらう。
「あの山この山も、あそこもここも、うちの地所だよ」。
─それはすごいですね。昔なら大金持ち。しかし、今はそんなに地所があっても困りますね。買ってくれる人もないじゃありませんか。草刈だってたいへん。息子さん達はどう思っているんですか。
 
「いやー、それがね。息子たちは山なんかいらないと言っているんだよ」。
─そうですねえ。みなさんそう言いますね。それに、不動産業の友人は、山は買うもんじゃなくて、もらうもんだなんて言っていました。
「そうなんだなあ。たくさんあっても、困ることばかり。杉の木は60年経って、いまが伐り時なんだけども、伐れば伐るほど赤字になるだけ。だれか伐ってくれないかなあ。木は全部あげるから」。
─困りましたね。どうしたらいいですかね。
「まあ相続を放棄して、行政にもらってもらうという方向があるかなあ」。
 
そして、空き家の話。
─ところで、月に1度は帰ってこられますが、どうしてですか。
「家に風通しをしないと、家が駄目になってしまうからね」。
─じゃあ、貸してあげたらいかがですか。人に貸したら家が長持ちするし、ここはとってもいい家だと思います。住みたい人もたくさんいますよ。
「それはそうだけれども、人に貸すにあたっては色々整理が必要になってくる。それに帰ってきた時に、先祖の家がないということになってくるとやはり寂しいものだ。貸しても、たかだか数千円みたいな話だし」。
─まあ、中山間地には移住補助があるので、改修と整理に120万円ぐらい補助が出ることがあります。それを活用して住んでもらう方法もありますよ。
 
そんな会話をしたのであった。かつての山林大地主というものは、大金持ちであった。が、今はいくら山林があっても、お金にならない。困るだけかもしれない。
北海道で山林が中国人にばんばんと買われていると聞く。やがてこのあたりの山里も、そのような現実が間近に迫ってくるかな。