過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

雨音を聞きながら

朝からずっと雨だ。雨音を聞いている。エッセイストで視覚障害者の三宮麻由子さんが、雨の音を聞くのが嬉しいと言っていた。雨の音によって空間の広がりが感じられるからだという。トタン屋根に落ちる雨音、車に落ちる雨音、地面に落ちる雨音。音の響きによって、ものがどこにどうあるのか、わかるというのだ。

先日、視覚障害の支援をしている斯波さんと話した。斯波さんは、視覚障害者は溝に沿って歩くのがラクだという。溝に杖を当てながらまっすぐに歩く。ところが親切な人がいて、溝の近くを歩いて危ないということで、道路の真中に連れて行く。そうなると、まっすぐに歩けなくなってしまうという。歩く道に、凸凹のブロックがないと、視覚障害者はとても困るという。そんなふうに感じたことはなかったので、なるほどと思った。

お年寄りは転んだらたいへんなので、バリア・フリーがとても大切。でも、つねにバリアフリーだと、かえってよくないともいう。ある施設などは、バリア・アリーにしていて、適当なバリアがあるから、かえって認知力、注意力が維持できるという。

そんなことを、雨音を聞きながら思い起こしていた。三宮さんは、通信社でフランス語の翻訳の仕事をして、ピアノでクラシックを演奏したり、俳句をよんだり、何冊も本を出されている。そのみずみずしい感性にはっと驚くことがたびたび。明後日、浜松の図書館で講演される。お会いできるのがたのしみだ。