暮らしの中で、いろいろと老化の兆候に気がつく。話をしていて、文脈がズレてしまっていることに気がつかないで、ドミノ倒しのように理屈をつなげてしまうことがある。そのうち、あれれ? なにかオカしいな。いったいなにを言いたかったのだろう。
……あ、そうそう、これを言いたいために喋っていたんだよな、と気がつく。けれども、すでに修復は不可能に。聞いてくれている相手が、うんうん、そうだよね、なるほどと相槌を打ってくれるので、ますます迷宮入りになることがある。
なにかしようと立ち上がって歩き出して、もう忘れてちがうことをしている。花に水をやろうと外に出たら、玄関の掃除をはじめてしまった。あれれ、これをやるために来たんじゃないのに、なんだっけ? ということが、近ごろよくある。