①まるで阿片窟みたい かすかに意識はあるが、静寂で至福
②医療用大麻やアヘンなど、難病や死に至る時につかうのもいいのではないか
③満州帝国の資金源はアヘンであった
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「まるで阿片窟みたいだなあ」
ベッドに横たわって、そう感じていた。
景色もわかる。光もわかる。人の声も聞こえる。
こちらからなにか喋ろうとするときは、「さあ喋るぞ」と深くコミットしないと声が出ない。
全体としては、至福にちかい。ぼんやりしているが、不足な感じはない。まあ、流れゆく雲、飛んでいく鳥をただ眺めている。自分がいるとかあるとかいう感覚もあいまい。
身心脱落に近いのかも。
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病状の確認のため内視鏡で肺の細胞をとり、治癒のために肺の洗浄を行った。
麻酔の点滴(静脈内鎮静法)を受けないと、苦しくて無理だ。
静脈内鎮静法(点滴麻酔)なので、全身麻酔とはちがって、意識はかすかにある。
腕の静脈に鎮静薬を点滴されてウトウトとした状態のまま。
施術が終わったあと、麻酔が切れるまでの2時間は動けない。
肝臓のある右側を横にして横たわっていたのだった。
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麻酔というくらいだから、モルヒネ(ベンジルイソキノリン型アルカロイド)の成分なんだろうな。
よく中国の清朝時代、阿片窟で横たわってパイプをふかしている写真を見たりするが、まるでそんな感じだなあと思った。
それで、「ああ、苦しくて死にそうなときって、こうしてアヘンをうまくつかえばいいんじゃないか」と感じた。
やがて医療用大麻も解禁になるだろうし、もうタイでは解禁。アメリカの州のいくつかでも解禁。オランダなどはもとより禁止されていない。
日本は、戦後、「ヒロポン」という名前で覚せい剤のようなものが堂々と売られていた。サザエさんの作者、長谷川町子のマンガにも登場する(留守中に子どもたちがヒロポンを飲んで、ゲラゲラ笑い転げけている漫画)。※大麻と覚醒剤は成分が違う。
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ちなみに、満州帝国の資金源はアヘンであった。満州は土建国家なので、その資金を得るために、アヘンを密売していた。必要な財源の16%がアヘンの収入。
さらには、機密費・謀略費・工作費をアヘン収入から調達していた。その利益の大部分が東條内閣への補助資金と議員の補助金に割りあてられてもいた。星製薬(ショートストーリーの星新一の父親の会社)がモルヒネやヘロインといった麻薬を製造していた。