過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「板まんだら事件」裁判の過程

いま創価学会は「本尊にまどっている」状態。その一番最初の攻撃は、この裁判であった思う。

Mさんとの対話の続き②

───Mさんは、創価学会と戦ってきました。それも本部職員(民主音楽協会)に在籍しながら、というのがすごい。よくやりましたね。しかも、「蓮悟空」というペンネームで創価学会批判の出版もしていました。

「ずいぶんといやがらせをうけたよ。後に除名になったけれどね」

───話題になったのは、巨大な宗教団体である創価学会を相手取って裁判をしたこと。時間もお金もかかったでしょう。

「そうだなあ。裁判は10年以上。費用は3億円以上はかかったよ」

───うわあ。それはすごい。その資金はどうやって捻出したんですか?

「自腹でやってきたけれど、お金がない。そこで、北海道から九州まで行脚して寄付金を募ったんだよ。そうだなあ、5,000か寺〜6,000か寺にになると思う。とくに日蓮宗は応援してくれて、いろいろなお寺を紹介してくれたよ。ただ、浄土真宗は関わりたくなかったようだが。他の宗派は応援してくれた。」

───ううむ。5,000か寺〜6,000か寺。これまたすごい。そのとき訪ねたお寺との交流がネットワークとなって、無形の財産となっていますね。
しかし、あんな巨大な宗教団体と戦うなんて、よく身体が無事でしたね。いのちがいくつあっても足りない。

「シロアリを床下にまかれた。猫の遺体が玄関にぶら下がっていた。クルマを壊された。無言電話は毎日。駅のホームから突き落とされたこともあったよ」

───よくぞご無事で。ところで、裁判記録をざっと読みましたよ。一審から控訴審、そして最高裁の判決まで。「板まんだら事件」として、ネットで検索したら出てきます。
裁判の趣旨は「正本堂の御供養金の返還請求」となっています。

正本堂」は、広宣流布のときに本門の戒壇となる建物である。本門の本尊(板曼荼羅)を安置する建物である。御供養は、千載一遇のチャンスである。そうやって創価学会に寄付を募った。4日で350億円あつまった。いまでいうと、5,000億円くらいか。

けれども、じつは本門の本尊(板曼荼羅)はニセモノであった。広宣流布は至っていなかった。よって、創価学会は詐欺行為である。Mさんはだまされた(法的には「要素の錯誤」)。なので、供養したお金(400万円)を返せというものですね。

創価学会は、正本堂を建てるに当たって、あおりに煽ったんだ。
〝御本仏、日蓮大聖人様の御遺命たる本門戒壇建立のため、広宣流布のため、正本堂建立に御供養申し上げ奉る大福運と大功徳は、釈尊在世中よりも、数千万億倍すぐれ、日蓮大聖人御在世中よりも、なお偉大であり、一生一代の名誉ある御供養にさらにいちだんと励んでいこう。(中略)

正本堂建立に御供養申し上げ奉る大福運と大功徳は、釈尊在世中よりも、数千万億倍すぐれ、日蓮大聖人御在世中よりも、なお偉大であり、一生一代の名誉ある御供養にさらにいちだんと励んでいこう(『大白蓮華』昭和40年10月号より)〟と。

ところが、その正本堂に安置される本尊(板曼荼羅)は後世の偽作であることがわかった。当時は、ホンモノは、保田妙本寺にある「万年救護の本尊」だと気がついたんだ。

───創価学会は、こう言ってきました。すべての根源は本尊にある。創価学会が正しいのは、本尊が正しいからだ。富士大石寺にある、三大秘宝の大御本尊(板曼荼羅)こそが唯一絶対の御本尊だ。そのようにして信徒をたくさん増やしてきました。

Mさんは、その本尊は日蓮がつくったものではなくて、後世の偽作であることがわかった。そのことを広く世間に宣揚したかった、運動として世論をまきこみたかったわけでしょうね

「そうなんだ。板曼荼羅がニセモノであると、創価学会に詫び状を書かせたかった。ところが、裁判になるとそれは難しいので、御供養金返還という形の訴訟としたんだ」(以下続く)