ばたばたばたばた、またドクターヘリだ。うちのすぐそばはスポーツ広場で、そこにヘリがよく下りてくる。毎週くらい、飛来するようになった。そして、救急車の音。
「おとうちゃん、ドクターヘリはもう珍しくないね。救急車の音にしても、昔はめずらしかったけど、いまは何度も聞こえるね」
──そうだなあ、しょっちゅうドクターヘリが下りてくる。
「どうして、こんなに増えたの?」
──それはね。この山里は、みんなお年寄りばかり。もう体が弱っていることもある。それから、いつも言っているように、ワクチンが効いてきているってのもあるよ。
「なんで、みんなワクチン打つの?」
──それはね、みんなが打つから打つという人が多いからだよ。テレビが言ってたから打つという人も多い。
「みんながやるからやるっていうのは、どうしてそうなるの?」
──日本というのはね、島国でね、そうやってながいこと暮らしてきた。みんなが、そうしていれば安心という気持がはたらくんだろうね。
「でも、おとうちゃんはちがうね」
──おとうちゃんは、変わっているからね。みんなとおんなじことはしないんだ。自分で調べて考えて、そうだとおもったことをやる。だから、はたからあれこれ言われるけどね。仕方ない。