過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「帰ったらマコモ湯に入りたい」というので、沸かしたのだった。

「せっかく疲れたんだから、もっとお湯を熱くしようよ」
──そうだね。ぬるいね。しかし「せっかく疲れた」っていうのはおもしろいね。
おとうちゃんは薪を足して熱くする。
ぼこぼこぼこと、お湯が出てくる。お湯の出口が熱くなる。
──うわっ、あちち。
お湯をかきまぜながら入る。
──水ってのはね、かならず熱いものは上、冷たいものは下になる、そういう性質があるんだよ。だから、こうしてかき混ぜないといけない。
などと、水の温度差を使って機械を動かせるというような理科の講義を少ししたり。
「おとうちゃん、まっくらだねー。さっきあったお月さまも見えなくなったし」
──ここからは、お月さまの見える位置が違うからね。でも、お星様は少し見えるよ。
「ほんとだ。……あの光っているのはなにか?」
──ええ?ああ、あれか。あれはね飛行機だよ。ほら、うごいているでしょう」
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マコモ湯というのは、とてもとても不思議な湯で、うちは外風呂にしてある。星を眺めながら入る。屋根はちゃんとあるよ。
湯にマコモの粉末を入れている。不思議なことに、芯からあたたたまる。水質が柔らかい。
なにしろものすごい神秘なことは、水を取り替えなくてもいいことだ。
いつもサラサラとして臭いもなく、腐敗していないことだ。
何十年と取り替えない人もいる。うちは、まだ3年くらい。
東京暮らしのときには、12年間、試したことがある。うちに湯治に来た人もいるくらいだ。
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きょうはバロンさん主宰の「森の音楽文化祭」森林セラピー(森林公園)に行ってきた。
音楽と歌と踊り。あとは、いろいろな店が出店していて、子どもたちはわいわいと適当に遊んでいた。
あかりたちは、ドラム缶を転がしては遊んでいた。ドラム缶の中に人が入って、それを転がす。缶の上に乗る。最後はおとうちゃんもあかりも、舞台で楽器を演奏したり。
「帰ったらマコモ湯に入りたい」というので、沸かしたのだった。
まあ、マコモ湯があることで、家に温泉があるようなものだ。