過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

浄土真宗のお坊さんとの対話④ 南無阿弥陀仏のたすき掛け、弾除けのお守り。懐中本尊

浄土真宗のお坊さんとの対話④
「また戦時教学に戻りますが、こんなのが出てきました。西本願寺が発行したものです」
──おお。南無阿弥陀仏の散華、たすき掛けと、弾除けのお守り。懐中本尊。
このあたりは、日蓮主義だと南無妙法蓮華経のタスキだし、南無妙法蓮華経と書かれた懐中本尊と。まあ、どこの宗派も一億総動員でおんなじですね。
日蓮主義としては、満州帝国の立案者、石原莞爾の「最終戦争論」がありますね。
「どんなことが書いてあるんですか?」
──ほんの一部を引用します。
悠久の昔から東方道義の道統を伝持遊ばされた天皇が、間もなく東亜連盟の盟主、次いで世界の天皇と仰がれることは、われわれの堅い信仰であります。(中略)
日蓮聖人は将来に対する重大な予言をしております。日本を中心として世界に未曽有の大戦争が必ず起る。そのときに本化上行が再び世の中に出て来られ、本門の戒壇を日本国に建て、日本の国体を中心とする世界統一が実現するのだ。(中略)
折伏を現ずる場合の闘争は、世界の全面的戦争であるべきだと思います。(中略)
日蓮聖人が、世界の大戦争があって世界は統一され本門戒壇が建つという予言をしておられる(中略)
終戦争即ち王道・覇道の決勝戦は結局、天皇を信仰するものと然らざるものの決勝戦であり、具体的には天皇が世界の天皇とならせられるか、西洋の大統領が世界の指導者となるかを決定するところの、人類歴史の中で空前絶後の大事件である。(昭和十五年五月二十九日)
新興宗教についてはどうなんですか?」
──まあ、似たようなものです。創価学会の前身「創価教育学会」の初代会長の牧口常三郎も、天皇陛下について、こう述べています。
吾々は日本国民として無条件で敬神崇祖をしてゐる。(中略)天照大神ばかりにあらせられず、神武以来御代々の天皇様にも、感謝奉つてゐるのである。
万世一系の御皇室は一元的であって、今上陛下こそ現人神(あらひとがみ)であらせられる。即ち、天照大神を初め奉り、御代々の御稜威は現人神であらせられる今上陛下に凝集されてゐるのである。
されば吾々は神聖にして犯すべからずとある『天皇』を最上と思念し奉るものであって、昭和の時代には、天皇に帰一奉るのが国民の至誠だと信ずる。(中略)
天照大神のお札をお祭りするとかの問題は万世一系天皇を二元的に考え奉る結果であって、吾々は現人神であらせられる天皇に帰一奉ることによって、ほんとうに敬神崇祖することが出来ると確信するのである。またこれが最も本質的な正しい国民の道だと信ずる次第である
牧口常三郎『大善生活実証録』/『牧口常三郎全集』第10巻362頁~)
「まあ、どこも大政翼賛で、みんな天皇制にからめとられていくんですね。今回の新領解文も、天皇制につながる部分がありますからね」
(続く)