──好きなことして、暮らしていければそれが一番いいよね。
「そうなんだよね。でも、それができない。好きなことしてたら、暮らしていけない。生きるというのは、忍耐、我慢、辛抱、努力。そういうものなんだと子供の頃から教えられる。そのまた親も、その親も、そのまた親も。」
──そもそも小学校から、ランドセル背負ってマスクしてヘルメット被って通学して、あれと校則、規則。みんながそれに従うことがいいことだという教育で縛られて、好きなことを我慢して、イヤイヤやるのが勉強と教え込まれる。
「そうすると、人よりもいい成績をとることがモチベーションになる。偏差値の高いところに行こうと頑張る。で、いい大学に行って、いい会社に行く。で、与えらた仕事で頑張る。頑張ればやがて出世する。家も買える。子どもにも良い教育を受けさせられる。それが、幸せと思い込まされる。」
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──その路線に乗れない人は、自己肯定感が下がって、「どうせだめ。自分ってだめ」と思い込まされる。人生、つまらないと思うようになる。
「また、いい路線の人もつらい。いつしかその路線に外れると、怖い。ので、しがみつく。ますます、つまらない仕事になる。やめる勇気はない。プライドもある。その世界以外でやっていける自信もワザもない。」
──どっちも不幸だよね。
「ううむ。どうしたらいいんだろうか。」
──それは、好きなことをして生きると決めるしかない。決めたら現実が動く。好きなことしていたら、自分が躍動しているから、うまくいく。つかれない。人にも伝わる。うまく流れていく。
「そうだろうか。やってみないとわからないよね。」
──そう、わからない。賭けでもある。やってみてわかる。
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「ううむ たしかに。しかし、好きなことしたら暮らしていけないという教育、観念に縛られて生きてきたので、いったい自分は何が好きなんだろう?って、こそがそもそもわからなくなる。」
──自分が好きなことがわからなくるんだよね。いまの教育では。だから、子供の頃、思い切り遊ばせないといけない。たくさん遊ぶと自分の好きなこと、やりたいことがみえてくる。
「そうだね。子どもは存分に遊ばせなくちゃ。そして、その遊んで楽しそうにしている子どもを見て、親が触発されて楽しくなる。自分も遊ぼうってなる」
──そうそう。そういう社会になっていくといいね。でも、そんなこと国や自治体に提案したって動くわけじない。ので、自分たちで作り上げていくしかないんだと思う。
「そういうことだね。だから、こうして子どもの冒険遊び場をつくっていくのは、ひとつの大きな意味があるね。」
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昨日のはるの冒険遊び場のこと。子どもたちは遊びまわる。親たちは焚き火を囲んでそんな話をしていたのだった。親たちも癒やされる、自分を見つめることになる貴重な時間。