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山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いちりん楽座「公教育&社会に市民革新を!~瀬戸ツクルスクールの挑戦~」8/23 13時〜15時

いちりん楽座のご案内
テーマ「公教育&社会に市民革新を!~瀬戸ツクルスクールの挑戦~」
ゲスト:市民立小中高一貫校「瀬戸ツクルスクール」代表 一尾茂疋さん
8月23日(水)13時〜15時
GoogleMeetで行います。始まる2時間前にURLを張ります。
参加ご自由。参加費無料。途中入退室オッケー。
50名余の生徒が通う市民立小中高一貫校「瀬戸ツクルスクール」を主宰している一尾茂疋さんをゲストに語ってもらいます。池谷がインタビューします。一尾さんのお話を聞いて、語り合いましょう。
お聞きするのは、主に次の3点。
①いまの義務教育の問題点。
②瀬戸ツクルスクールをはじめた経緯。
③瀬戸ツクルスクールの特徴、目指しているところ。
池谷の問題意識は次のようなことです。
不登校児童がどんどん増える〉
不登校児童 年間25万人以上。年率25%アップ。そのまま行けばやがて50万人を超えるかも。不登校が問題なのではなくて「学校が問題」ではないか。学校が社会のニーズに応えられないのではないか。
〈戦後の教育のあり方でいいのか〉
戦後の復興期 、「追いつき追い越せ」時代には、真面目で勤勉、忠実で、従順な労働者を作るために学校教育は適応していたかもしれない。均一な労働力提供の課程として。
 しかしいまや坂道を下ってゆく日本。これまでの教育方法でそのままであっていいはずがない。
〈創造性を伸ばす教育になってないのでは〉
創造性が要求される時代に入らざるを得ない。 それに対して、今の学校教育のありよう:一斉授業、詰め込み教育、偏差値重視、規則で縛り付ける同調圧力的な空気は創造性を奪う。それは有能な奴隷となる教育であって、自ら起業する、企画する人を育てる教育とは思われない。
偏差値重視、学校の格付けの教育の背景には、最終出口は、一流企業に合った。いいい学校に出ればいい会社に入って安定した人生のコースに入る。しかし、いま一流企業もだめになっていく。そもそも有能なサラリーマンになるための教育そのものは、歪んでいる。ほんとうに自分が好きなものに挑戦しようという人間を育てない。
〈選択肢がない不幸〉
子どもたちにもっと選択肢があっていいはずだ。
店とか会社なら、お客が減ればその理由はなにか。自分たちのコンテンツと サービスをみなおす。しかしいまは、均一な学校制度しかないので変化に対応しない、できない。子どもは「行くか、行かないか」しかないので、不登校になる。
しかし学びたい人は、自分で工夫してどんどんと学んでいける道がある。ネットを通して学ぶツールもたくさんある。学校は相対化されていかざるを得ない。
〈費用面の問題〉
教育機会確保法が改正(不登校児童・生徒に対して、学校への登校を強制せず、それぞれにあった学習環境を保障する。能力に応じた教育機会を確保する)され、フリースクールオルタナティブスクールが増えてきた。
けれども大きな問題は、費用がかかりすぎること。いまの学校教育では、1人年間100万円以上の税金がかかっているのに、フリースクールオルタナティブ・スクールとなると、大変にお金がかかる。
月謝だけでも月に5万円とか10万円。それでは、経済的負担が多すぎる。
親としては、子どもが学校に行かず、家にずっといられても困る。 子どもは友だちがほしい。友だちがいないと、 コミュニケーション能力が発達しない。基礎学習の習得は心配。そして、親と子の自己肯定感が低くなる。心配は増える。
個人事業主を目標に教育する学校があった〉
学校教育の大きな問題として偏差値教育がある。いい大学を出ていい会社に入れば安定した人生を送れるという考えがある。それが根底から崩れ去ろうとしていると思う。
この時代に必要なのは創造的なこと、起業できるスピリット、自分の頭で考えて自分でリスクを取って行動できる人間であること。
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安定した会社や 一流企業を目指そうというものではなくて、個人事業主、 自分で自分の仕事を作る力を養う。それを目指している学校があることを知った。それが、「瀬戸ツクルスクール」「瀬戸プラクティカルカレッジ」。
〈瀬戸ツクルスクール〉
「瀬戸ツクルスクール」は、教育機会確保法の趣旨に沿った全日制のスクール。
小学校中学校高校と一貫して行っている。
生徒は50人余が通う。 個人事業主を作ることを最終目的に教育を行っている。費用は食費と月3,000円ぐらいの施設運営費程度。  
そんな学校があるのか------。
ということで、一尾さんに話を伺うことにした。以下は、池谷がネットで調べてまとめたこと。これら素材に聞いていくことになる。
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瀬戸ツクルスクールは、「市民がつくる公教育の形」をテーマに、公立学校同様に昼食費・施設利用費の実費しか徴収せず運営している。
国からの補助を一切受けず、というのがすごい。利益度外視で運営している。
小学生から中学生の学習サポートからスタートさせ、母親が子どもとの関わり方を学ぶ「せとオヤ子育てプロジェクト」も発足。
瀬戸市教育委員会主催の瀬戸市教育アクションプラン推進会議委員。学校教育へのサポートもしており、PTA家庭教育セミナーの講師や教員向けの研修講師、授業サポーターでもある。北米アドラー心理学会認定プログラム、ポジティブディシプリン学級&ペアレントエデュケーター。
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瀬戸ツクルスクール設立のきっかけは、子どもが主体となって学んでいるサドベリー・スクールを見学して、「これなら自分でもできるかもしれない」という手応えを感じたこと。サドベリー・スクールでは、生徒は学ぶべき内容を学校から押し付けられることがなく、自らの好奇心の赴き、ルールの範囲内で追求することができる。
〈人件費は基本的に無償〉
難しいのは、維持運営費だ。月謝を安く抑えるとしたら、人件費、固定費をどうするのか。
一尾さんは、平日10~15時は本スクールの運営に携わり、17~22時は塾を経営し、塾の経営で生計を立てている。
学校の建物は、最初はダンス教室を借りたり、次に公民館。やがて閉校になった専門学校の校舎。地元企業が趣旨に賛同してくれ、経営者の方が校舎を購入し、2020年6月から拠点としている。支払っているのは光熱費だけ。
参考にしたのはアドラー心理学アドラーは、「人とのつながりが大事」ということことで「Gemeinschaftsgefühl(共同体感覚)」という言葉がある。
「自分の利益のためだけに行動するのではなく、自分の行動がより大きな共同体のためにもなるように行動する」という考え方に共感している。
またアドラー心理学をベースにした「ポジティブ・ディシプリン」という、手をあげたり叱ったりではなく、でもしたい放題にさせるわけでもない日々の課題に子どもと同じ目線で向き合い、自信と力を伸ばしていく考え方を参考にしている。
食事は、お弁当持参はお母さんたちの負担が増える。子どもたちが皆でメニューを決めて、買い物に行って、一緒に作って食べる。昼食作りは、昼食作りは脳に良い。失敗を通して学ぶ機会にもなる。
他にも毎週水曜日は公園で運動する「パークデイ」、金曜日は畑で農作業をする「ファームデイ」にしている。
全てが任意。来たい子が来たい日に来る。週5回のスクールで、全日参加する子は全体の6割前後。
一般的な学校と比べて、毎日毎日「自己決定」をする回数が、かなり多い。この、自己決定をするということが本当に大事。
具体的な時間割としては、朝10:00~11:15はスクールミーティング(関係づくり、昼食メニュー決め、ルールづくりなど)の後に、絵本タイム、学習タイム。学習はタブレットなどを利用し、自分のペースで進める。
「学力=学ぶ力」。本質的には、学ぶ力を学力という。
そもそも何かができるようになること自体が学ぶ楽しみの一つ。だから一斉授業はやらない。タブレットなどを利用し、自分のペースで進めている。
スクールは法人化しておらず、一般社団法人やNPOといった非営利組織の形式でもなく、任意団体でもない。団体という形式を取ることで、どうしても教育がサービス化してしまう。保護者の方とも対等な関係を築くために、あえてこの形にこだわっている。