先日、ひさしぶりに友人から電話があって、長話をした。彼は少し鬱気味で辛かったようだ。
私も体調がけっしていいほうじゃないので、他人を励ますなんてできないし、しない。自分のありようを語るのみだ。
「現実と直面するしか、現実を乗り越える道はないよね。悪戦苦闘して悪あがきしていて死んでいく。ぼくはそう決めているんだ」みたいな話をしたのだった。
その方から、「こないだの話、とても救われた思いがした」というお礼の電話だった。すこしは役に立ったみたいだ。
ところが、私が編集した本を差し上げたことがあった。
彼が言うには、本棚にそのまま置いてあったが、池谷さんに電話して思い出した。その本を何気に読んでみた。そうしたら、とても救われた、と。
こうして、心が弱ったときにこそ、助けられる思いがする。けっして押しつけがましくない。まさに「かかりつけ医」のように語りかけてくれている、と褒めてくださった。「こういう時代だからこそ、こういう本をもっと出してほしい」と言われた。
そうなんだ。あの本は、そういうサポートになっていたんだ。嬉しかった。
ということで、いまの事業は超低空飛行で維持しつつ、軸足を編集のほうに。やはり本作りにエネルギーを注いでいこうと思ったのだった。