過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「最期の7日間」という朝日新聞の投書を巡って

「最期の7日間」という朝日新聞の投書を巡って、NHKの取材を受けた。まだ企画中ということだが。

この投書は、ぼくが「看とりとおくり」のカタリバの主催するときに資料として配らせてもらった。そのブログを見てNHKがアクセスしたわけだ。

そのとき、似たような、適確な見事な言葉があった。あれはなんだっけなあ……と電話していて、思い出せなかった。

自分のパソコンを検索しても出てこない。ネットでも出てこない。キーワードが思い出せないからだ。

ワンコの散歩をしていたら思い出した。辰濃和男さんの「文章のみがき方」(岩波新書)にあったものだ。以下引用。
---------------------------------------
ある日の新聞に「日本一短い手紙」の話がでていました。福井県丸岡町(現坂井市)で、短い手紙の募集をはじめた大廻政成さんの話です。

その記事のなかに、こういう短い手紙が紹介されていました(「朝日新聞」二〇〇七年二月二五日・朝刊)。

「いのち」の終りに三日下さい。
母とひなかざり。
貴男と観覧車に。
子供達に茶碗蒸しを。

純化された文章のなかから、書いた人の思いがふわりと伝わってきます。いろいろなものを削ぎ落として残ったものが「雛」と「観覧車」と「茶碗蒸し」だったのでしょう。その三つのもので象徴される家族の絆が、読む人の心にしっかりと伝わってきます。
あなたなら、どんな三つを選びますか。三つを選ぶという過程のなかで、あなたはおのずからう「単純化」という精神活動をすることになります。

前章の繰り返しになりますが、単純で簡素な文章を思うとき、大切なのは、読む人に「いちばん何を伝えたいか」を明確にすることです。自分が思っていること、自分が感じていることの正体をしかと摑む。その上で、それをどう伝えたらわかってもらえるかを考える。