過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

失火元には責任がない

火災保険(1) 友人が隣家のもらい火で家を全焼。裸同然で焼け出された。自宅に火災保険を掛けていなかった。

法律的には、人に迷惑をかけた場合には、償わなければならない。故意または過失によって他人の権利を侵害したものは、賠償する責任を負う。(民法709条)

火元の過失は明らかだ。失火元に対して、失われた家屋と家財の損害を賠償できる。そして慰謝料も。家を建て替えてもらい、家具や衣類、もろもろを賠償してもらえる。……はずだ。

ところがだ。火事の場合には、この法律が適用されないのだ。

他人の失火によって、自分が焼け出されても、相手に損害賠償を請求できない。失火元には、責任がないのだ。そうなると、自分が火災保険に入ってなければ、まったくすべて失ってしまうことになる。諦めるより仕方がない。まさに、ふんだり蹴ったりだ。

失火元は火災保険に入っていて、その保険金で家を新築する。けれども、焼かれた隣家が火災保険に入ってない場合には、再建できない。家がなくて流浪することになっても、火元のひとは責任を負わないでいいことになる。道義的には許されないと思うけど、法律的にはそうなのだ。

ただし、失火が重過失、程度の高い不注意であった場合は例外だ。失火元に責任が及ぶ。たとえば、天ぷらを揚げていて、散歩に出かけてしまったとか、強風の日に焚き火をしていたとか、酔っ払って寝タバコしたとか、そういうのが重過失にあたる。

ともあれ、火災保険に入って自分を守るしかないということになる。わが家も事務所も火災保険に入っていないので、明日、加入することにする。