過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

雑誌の取材の仕事

自分の感性で書くというのは、楽しい。でも、仕事となるとそうは行かない。いますすめている雑誌の仕事は、インタビューをして書くということで、すこしくストレス。

まず、相手からいい話を聞き出すのが、ポイント。話したくなるような雰囲気、質問、相槌。相手がなにか語ったら、それはこういうことですよね、それってどういうことですか、と聞いていく。

このあたり、うまくやらないと、気分を害されて滞ることもある。まあ、基本、相手は仏教世界のひとなので、そこは大丈夫。かつて、大学の専門医の取材をしたことがあったが、神経内科の方で、医学専門用語連発でまったくわからず、困ったことがあったけど。

ともあれ、1〜2時間くらい話しを聞く。語る言葉がそのまま原稿になるようなひとだとラク。たいがいは、あっちこっちに飛んで散漫になる。聞きたいところにまったく乗ってこなくて、取材意図とズレてしまうこともある。今回は、すこし難ありだ。

まあでも、インタビューは完了している。さてそこから、原稿つくりに入る。まずはテープ起こし(もちろんICレコーダからだけど)。2時間の話を文字にするのには、2倍から3倍の時間がかかる。これが、ひとつのヤマ。下請に依頼する経費がないので自分でやる。いちど聞いているので、そのほうが速いし。

文字起こしは、機器を手で操作していたら、すごく手間。かつては、足のペダルでストップと再生ができる機器を使っていた。いまは、「CasualTranscriber」という便利なフリーソフトがあって、左指のショートカットでスイスイとできる。

ということで、朝から始めたテープ起こしがやっと完了した。つぎに、話のポイントを抽出して、そこをヤマに持っていく。その流れをつくる。質問は適当にこしらえて、それにたいして答えてくれたかのようにする。必要ない話は、バッサバッサと削除していく。床屋さんか、植木の選定みたいだ。

で、納得の原稿ができたとする。次に、二つ手直しがある。一つは、雑誌社からこうしてほしいという注文がくる。これはお互いに意図が同じだから、やりやすい。助けてもらえる。

いちばんの関門は、取材された本人からの直し。「こんなこと言ってないよ。こんな趣旨じゃあないんだ、こんな原稿ダメだ」とやり直しの場合がある。ま、そんなことは一度もなかったけどね(一冊本を仕上げて、全部アウトということは、一度だけあった。三ヶ月の仕事がおじゃんに)。だいたいは、ほんのすこしの手直しで済む。

ということで、今夜中に、原稿を仕上げてしまう予定。いつもそうだけど、山登りと似ていて、この山、高いなあ、登れるかなあと思うけど、一歩一歩あゆんでいく。いつしか五合目、七合目、そして頂上と辿り着くことになる。三合目くらいになれば、楽しくなるのはわかっている。

何度も何度もやってきている仕事だから、かならがカタチになる。そういう楽観がある。そして、実際なんとかなるわけだ。