入選しました。お世話になりました。早朝に電話があった。市民文芸という浜松市が出している文芸誌に小説が入選したという。恩田さんというおばさまからだ。毎年、エッセイや小説を投稿している。応募の前に、いつも、みてくださいと持ってこられる。こうしたほうがいいんじゃありませんかと感想とアドバイスさせてもらう。それで、なんどかやりとりしながら、挑戦された。
ことし80歳になる。緑内障で目はほとんどみえない。口述したものをお嫁さんがワープロに入れる。それをまた読んでもらって推敲を重ねていく。原稿50枚だ。
春野の山里のさらに山奥、その名も外山(はずれやま)というところ生まれて暮らしてきた。現金収入も少なくみな貧しい暮らしのなか、お兄さんは10代の頃、崖から落ちて大怪我をして片足を失う。生計を立てるために、自力で竹細工をはじめる。お母さんは、炭俵をせっせと編む。そういう暮らしの物語だ。そのお兄さんもよく存じ上げているので、ほんとうにリアルな体験として響いてくる。