過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

あれもこれもしておかなくちゃという循環のなかにいる

赤ちゃんに出会った。生後、三週間だ。自分に子どもができると、とっても共感する。お母さんのたいへんさもよくわかってくる▲きのうはTさんを訪ねた。娘さんに二人目の子どもが生まれて、里帰りされていた。上の子は二歳。男の子なので元気だ。Tさんは顔をはたかれたらしく、目のまわりにアザを作っていた▲Tさんの奥さんはアルツハイマーにかかって、いま施設だ。相手がだれなのかは、もうわからない。でも、赤ちゃんを見せると嬉しそうな顔をするという。

Tさんはぼくよりも10歳上で、つねにチャレンジされている。創意工夫の達人である。天竜川沿いに群生している竹を伐採して、それを燻して、組み立てて家を建てたりする▲「あと二ヶ月でもうお正月だよね」「うわあ、早すぎる。やらなくちゃいけないことが山ほどあるのに」「しかし、もう晩年だから、あれもしなくちゃこれもしたいというんじゃなくて、人生のしまい方を考えなくちゃいけないじゃないの」。そんな会話をした。

ぼくは、これをした、あれをした。これもやりたい、あれもやりたいという生き方をしている。しかし、なにもしないでくつろいでいられる。そういう暮らしをしていかなくちゃいけない。と思うこともある。そんな暮らしを味わいたいものだ。けれどもそのためには、やはりあれもこれもしておかなくちゃという循環のなかにいる。