過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

からだ全体が〈負けるもんか〉という緊張に満ちている

ある時、セミナーで知りあった方が、整体の先生だった。「いちどうちにきてごらん、見てあげるよ」と言ってくれた。

その方の下北沢の治療院を訪ねていく。
診察台に寝ろという。先生は腰をさっと触るや、「ああ、やっぱり……」と一言。

「からだ全体が〈負けるもんか〉という緊張に満ちているよ。心と体のバランスがとれていない」と。見立て通りというわけだ。

からだの細胞がぱんぱんにはれて、つまっている感じだ。体の重心が上にきている。これじゃあ、腰痛になるよ。骨が歪んで痛みを起こしているんだけれども、骨をいじっても仕方がないよ。骨というのは、筋肉によって支えられている。支えている筋肉が、緊張して硬直するから、骨が引っ張られて歪むんだよ。

あなたの場合は、〈負けるもんか〉というすごい緊張が、太股の筋肉の硬直にあらわれている。その太ももの筋肉が、腰椎を歪めているんだよ
そう説明してくれた。

「え? ではどうしたらいいんですか」

「もっと、リラックスして生きなくちゃ。
〈負けるが勝ち〉〈急がばまわれ〉だよ。負けていいんだっていう生き方をしなくちゃね。勝とうとするから苦しむ。そもそも、勝つとか負けるとかいう世界をよく見てみようじゃないか」

しかし、なにをどうしていいのかさっぱりわからない。でも、「負けるが勝ちか……」なるほどなあと、心のなかで反芻していた。