過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「客を見きわめる」と「仲良くしたくない人に近づかない」

「客を見きわめる」と「仲良くしたくない人に近づかない」

新入社員の研修は、大坂でピアノを販売することだった。ピアノの予約販売だ。これは、ミシン屋が始めたビジネスで、毎月、積み立てていく。子どもが大きくなったら、それを頭金にしてピアノの実物を買う。ローンを組むのだ。
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研修の場所は大阪。いくら訪問しても売れない。ピンポーン「こんにちわ、ヤマハです」ドアをバシン。ドアを開けてくれても、相手にされない。売れず。

いくらたっても売れない。同期生では、その日に売ってきた人もいる。
「まあ、売れるはずがない」と思うことにした。

しかしまあ、それはそれでプレッシャーがあるわけで、「なんとかしろ」と攻められる。しかし「売れない」。どうしたものか。
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そうこうしているうちに、気がついた。
買いたいと思っている客はいる。そこにエネルギーを集中すればいい。
買う気のない人に対して、どんなに説明しても売れるはずがない。

で、買いたいと思っている人はいるのだから、それを見つければいい。
買いたそうな人は、訪ねていけば出会う。そうしたら、その方に、エネルギーを集中すれば、売れる。

ということで、やがてちゃんと売れるようになってきたのだった。
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13年前に東京から山里の田舎に移住した。
移住した時、よそ者だから、みんなに低姿勢で挨拶した。和やかな交流は得意なんだけど、田舎は閉鎖性が強い。

挨拶してもまったく返してこない人が数名いた。意図的にぷいと顔を背ける人もいた。こちらは移住者だから、最初は、そういう人とも仲良くしようと思う。挨拶を繰り返す、無視。ああ、疲れる。
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あるとき気がついた。
「ああ、この人たちは自分のことを嫌っているんだ。〝嫌ってやろう〟という人と仲良くなる必要はない」
割り切った。方向性のかじを切った。

仲良くしようという人とだけ付き合ってネットワークを広げていればいいんだ。自分を嫌っている人と仲良くする人はない。仲良くしたくない人に、あえて仲良くしようとエネルギーを使う人用はない。
まあ、そのスタンスでやってきた。ストレスがだいぶ緩和された。