過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

辞書を引かせる

あかりは、外風呂に一日4回くらい入っている。寒いからね、薪の風呂は心から温まるのがいい。

「おとうちゃん、いまお風呂入れるかなあ?」

──さっき焚いたから大丈夫。でもね、薪で焚くと上が熱くても底は冷たいってことがある。ふたをとってね、こうやって板を支点にして「テコの原理」で湯を混ぜるんだよ。

「テコってなに?」

──うん。小さな力で大きな力が出せる仕組みだよ。それをここで説明するのは難しい。あとで、辞書を調べるように。

「うん」

  ▽

──とにかく漢字がよめること。語彙(ごい)といってね、言葉の意味をたくさん正確に知ること。それができたら、読書もスイスイ進むよ。そしたら、自分でどんどん勉強ができる。それにはまず「辞書」を読むことだよ。

「わかった。」

ちょっときつくいったので、嫌な気持ちを持たれたかなあと思った。けれど、寝る前に辞書を持ってきて布団で広げてた。

  ▽

「まず、テコ、テコと。ああこれだ。図版があったわかりやすいね。支店、作用点、力点。それから、テコでも動かないってのもある。てこずる。もあるね」

──そう、そうやって辞書は引いたり、読み込むものだよ。知っている言葉でも辞書で引いたら、「なるほどそういうことか、そういう意味か」ってわかるんだ。

辞書は、きれいに大切に使わなくてもいい。読んだ箇所にラインマーカーを引いたり、読み込んでボロボロになってもいいんだ。辞書を引くのが楽しくなったら無敵だよ。