出会った瞬間言われたことが、生涯の公案(枠を突破する教えとか問いかけ)になるようなことがある。
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天命庵(てんめいあん)で出会った「おやさま」(大徳寺昭輝さんが、天理教の開祖、中山みきをチャネル)
「あんさんはなあ、人をお助けする、そういうひとになりなはれや。お助けというても決して難しいことやありまへん。よく人の気持ちがわかること。人の気持ちがわかれば、自分の気持もわかる。自分の気持がよくわかり、人の気持ちがよく分かる。そういうところから、言葉を伝えていったら、みんなお助けになります。安心しなはれや。ずっと見守っています」。
一日200人くらいに向き合って、手をとってそのひとりひとりに声をかけてくださった。そして、しばらくしてまた出かけた。
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「あんさんもなあ。近ごろ、書くものはずっとわかりやすくなりました。“あれ、こんなこと書いて““あれ、あんなこと書いて”と、みんなみてますよ。メモまで読んでます。
でもなあ、あんさんは、興味あることばかりを追いかけていくところがあります。そこがちょっと心配です。特別なこと、珍しいことじゃなくて、あたりまえのこと、ふつうのことが大切ですよ。そんな気持ちで進ませてもらいなはれや。きょうはごくろうさん」
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そして、翌月。
「厄年やなあ。ヤクというのは、役に立てるということや。人のお役に立てることがたいせつやで。そのためには、もっともっとあそぶこと。あんさんは、頭にたくさん詰まっていますので、頭をからっぽにしなはれや。からっぽにして天の気と遊びなはれや。そうしたら、すべていまくいきます。仕事もみんなうまくいきます。だいじょうぶやで、しっかりみまもっています」。
そのあたりから人生がダイナミックになっていった。
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長尾先生という方がいた。ぱっと見、まったく普通の爺さんだった。静かで控えめ。からだも小さい。その方は、会った瞬間の数秒、その人の特性がわかるようだ。ただ、それをそのまま言っていいのかどうか、そこで言葉選びに時間がかかる。ぼくを見てこういった。
「あなたは、縁を作る力があるなあ。どんどんと縁ができる。でもなあ‥‥。(間をおいて)その縁を切ってしまうんやな。縁を活かすようにしたらええ」。
もちろん、そのための実践法も教えていただいた。
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財団法人心霊科学協会というのがある。出口王仁三郎の『霊界物語』などを口述筆記した浅野和三郎が設立した。霊能者がみてくれる。
「あなたは、新規なものを求める性格があります。しかし、そういうことばかりしていると、せっかくの先祖の徳を潰しますよ。石橋を叩いて渡るような生き方をしなさい」。
また別の霊能者は、絵を描くタイプの人。
その絵には、山があって川があって温泉があって、そういうところに暮らすという暗示があるという。
結局、それから10年後、山があって川があってというところに移住した。残念ながら、温泉はない。山があって川があって温泉があるところに、また移住するかもしれないなあ。
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工藤先生という整体の名医がいた。当時の首相だった竹下登などもかよっていた。その方が、「あそびにおいで。みてあげる」という。わたしが腰痛で苦労しているときだった。体を少し触って言った。
「ああ、やっぱり。体中、負けるまいという細胞になっている。とくに太ももがカチンカチンだ。だから硬直した筋肉に引っ張られて骨がずれて腰痛になったんだね。たいせつなのは、“急がば回れ”だよ。“負けるが勝ち”だ。そういう生き方をしないと、腰痛は治らないよ」
すこし思い出したので書いてみた。まだたくさんある。