過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

お寺で修行したいんだけど

「池谷さん、おひさしぶりです」
──いやあ、おひさしぶり。山形の蔵王にいるんじゃ、雪がすごいでしょう。

「そうなんですよ、あいかわらず。ところで、池谷さん、わたしも85歳になりましてね。もうお寺を人に譲りたいんです。息子二人は、お寺なんかやらないといいます」

──そうでしたね。息子さんはたしか獣医をされていたし、蔵王のてっぺんのお堂なんかにいても食っていけないし、いらないと言うでしょうね。

「それでじつは、あとを継ぎたいという30代の人がいるんです」
──ほぉ、それはよかったじゃないですか。
 ▽
「でも僧侶の資格がないので、どこかに修行に行かなくちゃ。それで、池谷さんにどこがいいのか教えてもらいたいと思って」

──それなら、Oさんが修行した善通寺はどうですか(あっ、途中でやめちゃったのか)。

「はい、それで先方に聞いてみたんですが、ことしは、弘法大師御誕生1250年記念大法会があるので修行僧は受け付けないというんです。どこかいいところないですか?」
 
──う〜ん。わたしは、修行道場って体験してないから、どこがいいとはおすすめできないんですね。なにしろ、真言宗って十八本山ありますからね、それぞれ厳しさ、ラクさいろいろですよ。

「どこがいいでしょうかね?」
──ぼくが、外から観察していると、成田山。そして、泉涌寺なんていいじゃありませんか。規模も小さくて面倒見良さそう。なにしろ皇室の御寺でしね。修行は随心院

また、信貴山もいいと思うし。まあしかし、費用面、面倒見のよさなど総合したら、成田山がおすすめだけど。
それから、もちろん高野山もいいし、智山派は智積院豊山派は長谷寺と思ったけれど。
 ▽
──宗派によってお坊さんの資格を取るのに、費用や厳しさ、時間に差があるんですよ。

臨済宗などは二年間、曹洞宗は一年。永平寺は厳しいみたいですね。高野もたしか専修学院は一年間。これが天台宗だと、六十日間。日蓮宗だと五十五日間かな。

まあ、ともあれ、あとを継ぎたいという本人からぼくのほうに電話ください。どこまで本気かにもよるし。費用面のこともあるし。

それよりなにより、Oさんのところは、宗教法人の資格取ってないから、ちゃんとしたお寺の照会がいるわけで、まずは地元のお寺にて弟子入りしてからじゃないですか。

そんな話をしたのであった。(以下続く)