「遺産相続の争いは、もう二度ときょうだい仲はよくならない。死んでも葬式にいかなくなる。でも、離婚はちがうよ。離婚は新しい選択だからね。世界が広がることもある」
家庭裁判所の調停員をしていた友人が、そう言っていた。
──裁判官じゃないから、あれこれアドバイスもしないんですか。
「調停員は、判断しないんだ。アドバイスもしない。よく相手の言い分を聞くだけ。そして、それを片方に伝える」
──そうすると、なにかカウンセラーみたいな仕事でもありますね。しかし、悲喜こもごもというか、憎悪のぶつけあいみたいなことも起きるわけでしょう。
「相手が、相手がものすごく怒りだすことがある。そうしたときは、なだめないんだ。こちらも、一緒になって怒ってみせる。そうすると、相手はやがて静かになってね。そういえば、自分にも至らないこともあったと言い出すこともある」
かれは、離婚の調停の度に、川柳を作っていた。ひとつ「遺産相続の争いは、もう二度ときょうだい仲はよくならない。死んでも葬式にいかなくなる。でも、離婚はちがうよ。離婚は新しい選択だからね。世界が広がることもある」
家庭裁判所の調停員をしていた友人が、そう言っていた。
──裁判官じゃないから、あれこれアドバイスもしないんですか。
「調停員は、判断しないんだ。アドバイスもしない。よく相手の言い分を聞くだけ。そして、それを片方に伝える」
──そうすると、なにかカウンセラーみたいな仕事でもありますね。しかし、悲喜こもごもというか、憎悪のぶつけあいみたいなことも起きるわけでしょう。
「ときに相手がものすごく怒りだすことがある。そうしたときは、なだめないんだ。こちらも、一緒になって怒ってみせる。そうすると、相手はやがて静かになってね。そういえば、自分にも至らないこともあったと言い出すこともある」
かれは、離婚の調停の度に、ひとつひとつのドラマを川柳にしていた。
次の三人はぼくの友人の事例。
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Ｏさんは、熟年離婚。子どもも育って社会生活できているし、「もうここいらで別れよう」ということになる。Ｏさんは郷里に戻って母親の世話をすることになる。
でも、離婚したからといって全く没交渉じゃない。子どもが結婚するといえば、結婚式のために調理したり、彼岸の時に家族で会ったりしている。親子の絆はちゃんとあるわけだし、なかなか自由でよさそうだ。
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Ｓさんは、境界性人格障害っぽい奥さんにとても苦しんだ。「地獄だった」という。それで、離婚訴訟を起こして、なんとか和解。高い養育費を払っているが、しかし、「あの地獄のような日々を思えば、いまなんといまは幸せなことか」と、日々、満ち足りて暮らしている。
瞑想的な人だから、どこにいかなくてもいい。ただひとりお茶を飲み、坐禅を組むだけでも幸せを感じているのであった。まあ心配なのは、どうやって死んでいくのか、そのあたりのネットワークづくりかな。
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Ｙさんは、数年前に離婚した。奥さんは家から出ていった。しかし、しばらくして帰ってきた。出ていっても、実家には小姑がいるし、ほかにいくアテもない。それで、もどってきた。
Ｙさんと、海外で仕事してもどってきた息子と元妻との同居生活をしている。離婚したのに家族暮らし。「でもね、元妻はぼくの洗濯物など絶対に洗ってくれないんですよ」と言っていた。
いろいろな生活スタイルがあるものだ。ひとつのドラマを川柳にしていた。
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Ｏさんは、熟年離婚。子どもも育って社会生活できているし、「もうここいらで別れよう」ということになる。Ｏさんは郷里に戻って母親の世話をすることになる。でも、離婚したからといって全く没交渉じゃない。子どもが結婚するといえば、結婚式のために調理したり、彼岸の時に家族で会ったりしている。親子の絆はちゃんとあるわけだし、なかなか自由でよさそうだ。
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Ｓさんは、境界性人格障害っぽい奥さんにとても苦しんだ。「地獄だった」という。それで、離婚訴訟を起こして、なんとか和解。高い養育費を払っているが、しかし、「あの地獄のような日々を思えば、いまなんといまは幸せなことか」と、日々、満ち足りて暮らしている。瞑想的な人だから、どこにいかなくてもいい。ただひとりお茶を飲み、坐禅を組むだけでも幸せを感じているのであった。まあ心配なのは、どうやって死んでいくのか、そのあたりのネットワークづくり。
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Ｙさんは、数年前に離婚した。奥さんは家から出ていった。しかし、しばらくして帰ってきた。出ていっても、実家には小姑がいるし、ほかにいくアテもない。それで、もどってきた。Ｙさんと、海外で仕事してもどってきた息子と元妻との同居生活。離婚したのに家族暮らし。「でもね、元妻はぼくの洗濯物など絶対に洗ってくれないんですよ」と言っていた。
いろいろな生活スタイルがあるものだ。
