過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

昼間は90代のお年寄りのお世話、夕方は5歳のあかりの世話

こんなに暑いから、無理かなあと思っていたが、99歳のFさんは「行きたい」というので、お迎えに行く。
施設に着いた。けれども、「足が痛いから下りるのはいやだ」と。
──大丈夫だよ、支えるから。
「いま無線が入って、早く帰ってこいという。胃もいたい」。
──それは、こまったねえ。じゃあ、しばらくクルマのなかにいる?
「ああ、いいよ」
ということで、冷房を効かせたクルマの中でお話を聞いたり、大きな歌詞カードを持ってきて、数曲歌う。
タイミングを見て、
──そろそろいいかなぁ。
と、おりてもらった。この間、40分間。
じゃあ、歌でもうたおうか。よく知っている歌。
「桜井の別れ」(青葉しげれる 桜井の里のわたりの夕まぐれ)「水師営」(旅順開城 約成りて敵の将軍 ステッセル 乃木大将と会見の所はいずこ 水師営)「浜千鳥」「人生の並木路」などを歌う。
歌い終わるたびに「ありがとう」と合掌される。
Fさん、スタッフにいつもこう言う。
「おねえさん、つらいことがあったら、言いないね。負けちゃあだめだよ。勝ちなよ」。
私には、こう言う。
「お金で困ることがあったら、なんでも言っておくれ」。
こうして昼間は90代のお年寄りのお世話、夕方は5歳のあかりの世話(自転車の操作を教えて、川に泳ぎに行く)という一日。

 

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