過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ネタが尽きないデイサービス

昨年の12月1日からデイサービス「みんなの家」の事業を行うことになった。
日々、利用者さんと接していると、ネタが尽きない。「介護」という仕事は、人に寄り添ってその人の立場に立って、ものを考え、その方の生き方をともに探ることでもあるのかなあと思う。
人に寄り添うというのは、これまでの人生には欠落していたこと。こうして、日々、実践の道に入ってくると、なかなかおもしろくて、深みのある仕事と感じてきた。
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Oさん(89歳、男性)は、転倒し大腿部骨折で入院し、3日前に、退院したばかり。朝、迎えに行くと「足が冷えてつらい。きょうは休みたい」と言う。
しかし、ひとり暮らしだ。そのまま家にいても、楽しくないだろうし、なにより心配である。「施設に来て、足湯と湯たんぽで温めましょうか。あとは、疲れたらベッドで休んでいればいいですから。家に帰りたいときには、いつでも送ります」ということで、来ていただいた。
足湯をしたら、「ああ、ぬくとい(温かい)なあ」。湯たんぽをセットしたら「ああ、気持ちいいなあ」。膝と膏肓と腎臓に手当(癒気)をすると、「ああ、湯たんぽのようにぬくといなあ」と、驚いておられた。
ぼくは、いつもは低体温気味なんだけれど、人に手を当るときは、不思議と手が温かくなるのだ。そして、疲れない。逆に元気をもらえる。
Oさんは、なんとか元気になって、夕方まで過ごされた。みんなで演歌も歌い嬉しそうだった。
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Mさん(79歳、男性)から、朝、「受診日なので休みます」と連絡あり。しかしその後、間違いと気づいて、当施設にふたたび電話しようとした。しかし、こちらが話し中であったために連絡がつかず。
免許は返上して、車の運転はできない。傘をさして、施設まで歩いて行こうとした。4キロの道のり。50分かかる。そして、長いトンネル(小石間隧道 600メートル)を歩いている時、近所の人が通りかかり、その車に乗せてもらって来られた。
「それだけ、みんなの家(当施設の名前)に行きたかったんだよ」と、明るい笑顔で現れた。嬉しかった。
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Nさん(89歳、女性)は、咳がまだ止まらない。 膏肓(こうこう:肩甲骨の間、首の下の背中)のところを、手で温めて差し上げた。「ああ、安心する、気持ちがいい」と言う。
この部分は、「病、膏肓に至る」という諺(ことわざ)があるほどで、たいせつなポイント。そこを温めると気持ちがいいし、元気にもなる。
Nさんは、室内の新しい歩行機(ブレーキで速度調節が5段階)で、すこし歩行訓練。「買い物に行くのに、こんな歩行車があるといい。ほしいわぁ」と言う。
そのことをケアマネとレンタル業者に伝えた。介護保険を使えば、月に400円で借りられるそうだ。
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きょう起きる時に腰を捻って、腰を痛めて休むというUさん(74歳、女性)には、電動ベッドを提案することにした。こちらも、介護保険を利用すれば、月に数百円くらいの経費だと思う。家族とケアマネに連絡。
便利な補助用具が進歩してきており、利用しやすくなってきている。こういう分野も探求していきたい。