過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

さすがの集落だと思った

「生きてるーー?」と玄関の戸を開ける。「もう、だめですーー」との声。冗談で言ったのに、Mさんは寝ていた。もう起き上がれない。寝返りも打てない。食事もできないと言う。山里のひとり暮らしで、移住して10年だ。近くに身寄りはいない。このままでは、衰弱して死んでしまいそう……。

ということで、救急車を手配した。となり町のM町総合病院に入院となった。3日前のことだ。

近隣の人にも、元自治会長のTさんにも、伝えた。「うちの地域の人に、お世話していただいて、ありがとうございます」と言われた。

近所のSさんが、入院手続きなど、病院に通ってくれていた。途中経過など報告も頂いた。「お世話していただいて、ありがとうございます」とお礼も言われた。

さすがの集落だと思った。2年前、竹のアーティストのGさんが移住したときなど、集落あげて歓迎会をしてくれたのだった。

山のさらに奥で、川上という集落だ。かなり不便なところ。高齢者ばかりの61世帯。浜松駅まで往復140キロ、クルマで4時間余もかかる。

地域によって、いろいろと温度差がある。かつて移住しようとして改築まで手がける寸前の人を受け入れなかった集落もあった。自治会で移住者受け入れ反対という決議がされたのだ。しかし、こうして温かい集落もある。