過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

この方、なんと90歳。陣頭指揮。

この方、なんと90歳。天野富士男さんという。陣頭指揮をとってくださり、率先して体を動かし、見本を示してくださった▲この日は、あいにく指導を頂いている栗島清さん(82歳)が来られないので、ぼくたち素人ばかりでの作業となる▲でも、どうも肝心のところがさっぱりわからない。この勢いで作業を進めてしまいたい。困った。

そのとき、「そうだ、天野さんだ!」とひらめいた▲近くにおすまいで、一人暮らしで広大な茶畑をもっておられる。炭焼窯をつくったことがある▲図々しくも突然、訪問した。娘さんたちが来ていて、みんなで柿の収穫をしていたところに、「ちょっとだけ、みていただけますか」と無理にお願いしたのだった。

「ああ、いいよ」と天野さん。ジムニーに乗っていただいてお連れする▲窯を見るなり「この木の置き方は荒いな。もっと小さく砕いて」と指示。自らきっちり並べてくださる。「ここの部分は、切るといい」と、チェーンソーで端の部分を切り取る▲「赤土は、すこし水を湿らせて。そう、それくらいの量をここへ」と自らスコップで運ぶ。「ここをしっかり叩いて、こんなふうに」と、10キロくらいある木槌を叩く▲動きがすばらしい。体の芯がぶれていない。すごすぎる。

「もうそろそろお時間ですし、あとはぼくたちがやりますので」と言っても、「いや、まだ大丈夫。もうすこし。ここをこうして」と教えてくださる。30分間、みていただくつもりが、2時間にも▲ついに、娘さんがやってこられて「うちのおじいちゃんを、そんなに働かせないでください」とお叱りを受けたのだった▲天野さん、とっても活き活きとして嬉しそうだった。こうして、ありがたいことに長老たちから、じかに教えていただく貴重な炭焼窯作りとなった。また、明日、ご指導いただくつもりだ。