過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

頸がすわらない

はじめての赤ちゃん体験で、とまどうのは赤ちゃんの頸(くび)だ。すわらないのだ。ブランブラン、くにゃくにゃ。抱き上げたり、お風呂に入れたりするとき、とてもこわい▲頭に手を添えていないと、頭が重たいので、ガクンと後ろに倒れてしまう▲頸には脳から手足、体とつながる神経が集中している。ガクンと折れた勢いで頸椎の神経が損傷したら、障害が起きてしまう。そこがこわい。

ちゃんと頸の骨はある。けれども、その骨を支える筋肉が未発達ということだろう。どうしてそんな状態で生まれるくるのだろうか……▲たぶん、胎内で赤ちゃんは羊水につかっている。頭が下になってまるまって、いつも遊泳しているような状態。いわば無重力。頸が自在にゆらゆらしないと、その体勢を維持できないからだと思う。

けれども、さあ、生まれた瞬間から、それまでの遊泳状態から地球の重力の影響を大きく受ける。ずいぶんと不自由を感じることだろう。──なんて体が重たいんだ。手足も動かない。鎖に縛り付けられたみたいだ。そう感じたかもしれない▲いちばんたいせつなホストコンピュータの重たい頭を支えるためには、じっくりゆっくりと、筋肉を増やして鍛えていく。それまで、どうも3か月くらいかかるみたい▲やがて筋力がついて頸がすわれば、寝返りができるようになると思う。そうして、その次には、腰の筋肉がついて、座ることができるようになる。

人間って、寝ている時以外は、いちばん重たい頭をいつも垂直に支えている。すごいことだなあと思う。年をとると肩こりがひどくなるのは当然に思う。頭からからだにつながる神経が集中している頸(くび)って、ものすごくたいせつなところだなあと、あらためて感じている。