裁判の口頭弁論の第二回目にいってきた▲被告の準備書面に対して、こちらもすでに準備書面は出してある。裁判の席で、裁判官から聞かれることはなにもない▲「原告は……陳述する、と。和解はしないんですね」と裁判官。こちらはうなづく。「被告は……陳述ですね」。被告の弁護士もうなづく▲「では、次の裁判ですが、12月3日はいかがでしょうか」と書記官。ぼくは「はい、結構です」。被告は、「いやその日は都合が」「では、12月10日では」。「はい、結構です」。ということで、裁判は5分で終了。
車を壊したのは100%相手方の過失で、事実関係の紛争はいっさいない。賠償金額の問題だけ▲当初、相手方は、減価償却した残存価値10%での賠償と主張していた。こちらが、それではだめという最高裁の判例をしめしたところ、譲歩してきた。市場価格で賠償するという。そんなのあたりまえのはなしだよ▲あとは、中古車の市場価格の計算の仕方と、諸費用(取得税、検査登録手続、車庫証明、納車などの費用)をどこまで認めるか、ETCやカーナビの補償、さらには慰謝料を支払うかというところが争点だ。まず「諸費用は支払うべし」と過去に判例が出ているので、これも相手は認めざるをえないだろう。
ということで、順調に進んでいるけど、裁判官ってちっとも楽しそうじゃないよね▲みていると、簡易裁判所だと、消費者金融の過払い請求、不払いの人に月割でいくら支払えという和解交渉など、そんなのばかりだ▲だから、こちらの案件も、そのなかの一つみたいなもの。和解してくれれば、はい、それで一件落着。はい次、となる▲それなのに、こいつは判決を出せと主張している。面倒やなヤツだなあと思っているかも▲やはりそこは、裁判官だからね。判決は書く以上、そこは判例として残るので、法律的な構成をきちんとして、理屈付けもしっかりして、書かなくちゃいけないわけだ。