過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

仏とは、空から降ってきたか、土から湧いてきた


「仏教」とはなにか。

それは、「仏の説いた教え」のこと。あるいは、「仏からみた世界が説かれている教え」ともいえるだろうか。

たんなる世界観だけではない。「あなたも仏になれる」と説く。それには、実践がともなう。「ちゃんと実践すれば、仏になれる。仏の智慧が得られるよ」と説く。

教えを学び実践すれば、仏になれるのか。それが仏教なのか。
でも、その仏ってのは、いったいなんなんだろう? 

いちばん肝心なところが、うやむやとしている。しかも、宗派によって難解で膨大な解釈があって一筋縄ではいかない。

徒然草の最後に、兼好が八つになったとき、父に聞いたという話がある。

「仏とは、どんなものなんでしょうか?」
「仏とは、人がなったものだよ」
「では、どのようにして人が仏になったのですか?」
「それは、仏の教えによって、仏になったのだよ」
「じゃあ、その教えた仏には、だれが教えたのですか?」
「それもまた、その先に教えた仏がいたのだよ」
「じゃあ、その先のその先の、教え始めた第一番目の仏は、どんな仏なんですか?」
「ううむ……。それは、な。きっと、空から降ってきたか、土から湧いてきたんだろう

次々と問いつめられて、父は答えに窮してしまった。このことを、父は人々に語っておもしろがったと兼好は書いている。

仏とは、空から降ってきたか土から湧いてきたというところがおもしろい。

※スケッチは、京都・嵯峨野の化野念仏寺の無縁仏たち。仏が地面から湧いているようにも見えますかね。