インドを旅して、もっとも感動的なことの一つは、朝日にあたるヒマラヤ山脈を眺めることだ。夜明けから、紺碧、ピンク色、オレンジ色、黄金色と刻々と変化する山脈を眺めて瞑想するのは至福の時間だ。
インドの人々にとって、ヒマラヤには神々がおわすのだ。カイラス山には、シヴァ神が鎮座していると信じていた。だから、北は吉祥の方角となる。ブッダが北枕で涅槃に入ったという伝説も、そういう背景があるかもしれない。いっぽう南は鬼門となる。暑い国なので、太陽の方角は、それほどありがたくないのかも。
このヒマラヤ山脈から、アンモナイトなどの化石が出る。かつてここが海であったためだ。なぜ海がこのような巨大な山脈になったのだろうか。
プレートテクトニクス理論によれば、インド大陸はもとはアフリカほうにあった。約4,500万年前、マントル対流によって移動してユーラシア大陸に衝突した。それによって隆起したのがヒマラヤである。しかもいまも隆起し続けているという。
ヴェーゲナーという人が大陸移動説を主張した。かつて地球上には「パンゲア大陸」と呼ばれるたった一つの超大陸があった。それが別れて現在のような大陸になったとする。
ヒマラヤ山脈はブータン、中国、インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタンにまたがる。インダス川、ガンジス川、ブラマプトラ川、長江の水源となっている。この水系には、8億近くの人々が生活しているという。
※イラストは12年前、チリアノーラというところからのスケッチ。ヘラカーンのババジの火の儀式に参加したとき描いたもの。