過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

駅から10分。200坪の土地が総額「1万円」。さて。

破産管財人の弁護士から連絡あり。この方、はっきりと喋って丁寧。歯切れがいい。
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こちらは提示した金額は、200坪の土地、総額「1万円」。
どうしてそんなに安いのかというと、自己破産した方の土地の任意売却だから。(住宅ローンの返済が困難に、金融機関に相談のうえ家を売却。しかし債権者の同意が必要)
で、破産者の財産の換価処分権限は破産管財人に帰属する。その担当が弁護士というわけだ。
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物件の概要
①200坪。農地。宅地に転用可能。袋井駅から徒歩10分。
②急な傾斜地。坂の上が禅寺の墓。日当たり抜群。見晴らしもいい。
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今回は、次のような問題点を伝えてきた。

「債権者(消費者金融)が、「根抵当権」を外さない。「地上権」の設定も外せない」と言う。

「それでもいいか」ということであった。

ちとややこしいので「考えさせてもらいます」とこたえた。

①「根抵当権」がついたままでは不動産を売却できないため、売却の際は根抵当権の抹消手続きが必要となる。

②「地上権」は借地権のひとつ。権利の所有者(この場合、消費者金融)は、その土地の活用について所有権並みの権利が得られる。 あくまで所有権は地主にあるが、その土地を自由に使うことができ、承諾なしに譲渡することも可能なのだ。
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200坪1万円で買おうというわけだから、やはりいろいろ問題があるわけだ。整理してみる。

①農地転用して、宅地として販売するにしても、「根抵当権」と「地上権」の設定が外れていないと売れにくい。根抵当権がついたままでは不動産を売却できない。売却の際は根抵当権の抹消手続きが必要。

②急な傾斜地。宅地にするにしても、「擁壁」をつくらねばならず、数百万の費用がかかる。

③農地である(宅地に変更するのは、農地法の制限で手間がかかる)。といって、現況は山林。雑木が茂って野菜などとても栽培できない。土地の上にはお寺の墓がある。

④そのまま持っていても、草刈りは必要。道路に伸びた木が交通の妨げとなって問題が生ずる。もしも木が大きくなった時、伐採に多額の費用がかかる。

⑤山自体が古墳のようだ。そうなると、宅地造成中に遺跡が出土するとも工事はストップ。発掘調査の費用は土地の所有者(開発者)が負担させられる。

地震や風水害があって土砂が崩れて公道に土砂が堆積したり民家を破壊すると土地所有者に損害賠償の責任が生ずる。

まあ、いろいろリスクある。けれど、駅から10分の土地を200坪を1万円で買うというのは「坪単価50円」だ。
ま、そこが面白いということだけのゲーム感覚なのだが。

今回の件を通して、いろいろと民法(物件)の学びにはなっている。
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まてよ、固定資産税ってどれくらいなんだろう。農地だからかなり安い(きっと数千円)と思うけれど。もしも、年間10万円もしたら目もあてられない。

ちなみに、農地の固定資産税は、固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%。たとえば、農地の固定資産税評価額が100万円の場合、100万円×1.4%で14,000円の固定資産税。

農地によって生み出される儲けがほぼないとされる場合には、固定資産税免除の対象となる。土地だけを所有している場合、課税標準の土地合計額が30万円未満の場合は免除となる。