過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

初期仏典に表されるブッダ

初期仏典に現れるブッダは神格的で超人的な存在ではない。大乗仏典になると、ブッダという存在は、空想的で神話的な存在となるが。

初期仏典は、人間ブッダという感じがする。その教えはシンプルでピースフルだ。

ダンマパダのこんな一節からも感じられる。

「花の香りは風に逆らっては進んで行かない。栴檀もタガラの花もジャスミンもみなそうである。しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る」(54 )
 ▽
ブッダに一度も会ったことがない青年が、その教えを学んでよく心を整えていた。

たまたま、ブッダとその青年が出会う。
ブッダは、その青年の立ち居振る舞いに感心した。

青年は、相手がブッダその人とは知らない。「友よ」と呼びかける。ブッダは問いに対して答える。

青年は話しているうちに、「この方こそが私が尊敬しお会いたいと願っていた、ブッダその人だ」と気がつく。その瞬間がとても素敵だ。
  ▽
マッジマ・ニカーヤ〔中部経典](一四○番)に、次のような逸話が有る。(『ブッダが説いたこと』ワールポラ・ラーフラ著 岩波文庫)から。

ブッダはかつてある焼き物師の小屋で一晩を過ごした。そこには、ブッダより先に一人の若い隠遁修行者が到着していた。二人はお互いに面識がなかった。

ブッダは隠遁修行者を観察し、「この若者は立ち居振舞がよい、彼がどんな素性の者なのかを知りたい」と思った。そこでブッダは、こう尋ねた。

「ビクよ、あなたはどんな師を求めて家をあとにしたのか、あなたは誰に師事しているのか、あなたは誰の教えが好きなのか」
若者は答えた。

「友よ、シャーキャ族のゴータマ姓で、隠遁修行者となった人がいます。彼は名声が知れ渡り、完全に目覚めた人です。私は目覚めた人に従って家をあとにしました。彼は私の師であり、私は彼の教えが好きです」

「その目覚めた人は、今どこに住まわれるのか」とブッダが尋ねた。

「友よ、北方にサーヴァッティという小さな町があります。完全に目覚めた人はそこにお住まいです」

「あなたはその方に会ったことがありますか。その人を見れば、わかりますか」

「私はその師に会ったことはありません。ですから会ってもわかりません」

こうしてブッダは、その見知らぬ若者が家を棄て、隠遁修行者になったのは、自分自身の教えを求めてであったと知った。しかしブッダは自分の正体を明かさずに、こう言った。
 ▽
「修行者よ、あなたに教えよう。注意して聴くがよい」
若者は、「友よ、聴きましょう」と承諾した。

そこでブッダは真理を説明する、もっとも素晴らしい教え(「第三聖諦ドゥッカの消滅」)を若者に授けた。

教えを授けられてから、若き隠遁修行者――名前はプックサーティといったーは、相手がブッダその人であることに気が付いた。

そこで彼は立ち上がり、ブッダの御前に進みでて、師の足許に礼拝して、ブッダとは知らずに「友よ」と呼びかけたことを謝罪した。

彼はそこでブッダに入団の許しを乞うた。
 ▽
ブッダは彼に「(必需品である)托鉢椀と衣の用意があるか」と訊いた。若者が「用意していません」と答えると、ブッダは「それでは入団は許されない」と言った。

プックサーティは托鉢椀と衣を求めて出て行ったが、不幸にも牛に襲われて死亡した。

後になってこの悲しい知らせを聞いたとき、ブッダは「プックサーティは賢明で、すでにニルヴァーナを実現する直前の段階に達しており、死後アラハントとなり、その生涯を終えたあとは、再びこの世に生を受けることはないであろう」と述べた。

ブッダに一度も会ったことがない青年が、その教えを学んでよく心を整えていた。

たまたま、ブッダとある青年が出会う。

ブッダは、その青年の立ち居振る舞いに感心した。

青年は、相手がブッダその人とは知らずに、「友よ」と呼びかける。ブッダは問に対して答える。

青年は話しているうちに、「この方こそが私が尊敬しお会いたいと願っていた、ブッダその人だ」と気がつく、その瞬間がとても素敵だ。

ワールポラ・ラーフラ師は、マッジマ・ニカーヤ〔中部経典](一四○番)かせら、次のように引用している。(『ブッダが説いたこと』ワールポラ・ラーフラ著 岩波文庫)から。

ブッダはかつてある焼き物師の小屋で一晩を過ごした。そこには、ブッダより先に一人の若い隠遁修行者が到着していた。二人はお互いに面識がなかった。

ブッダは隠遁修行者を観察し、「この若者は立ち居振舞がよい、彼がどんな素性の者なのかを知りたい」と思った。そこでブッダは、こう尋ねた。

「ビクよ、あなたはどんな師を求めて家をあとにしたのか、あなたは誰に師事しているのか、あなたは誰の教えが好きなのか」
若者は答えた。

「友よ、シャーキャ族のゴータマ姓で、隠遁修行者となった人がいます。彼は名声が知れ渡り、完全に目覚めた人です。私は目覚めた人に従って家をあとにしました。彼は私の師であり、私は彼の教えが好きです」
「その目覚めた人は、今どこに住まわれるのか」とブッダが尋ねた。
「友よ、北方にサーヴァッティという小さな町があります。完全に目覚めた人はそこにお住まいです」
「あなたはその方に会ったことがありますか。その人を見れば、わかりますか」
「私はその師に会ったことはありません。ですから会ってもわかりません」
こうしてブッダは、その見知らぬ若者が家を棄て、隠遁修行者になったのは、自分自身の教えを求めてであったと知った。しかしブッダは自分の正体を明かさずに、こう言った。
「修行者よ、あなたに教えよう。注意して聴くがよい」
若者は、「友よ、聴きましょう」と承諾した。
そこでブッダは真理を説明する、もっとも素晴らしい教え(「第三聖諦ドゥッカの消滅」)を若者に授けた。

教えを授けられてから、若き隠遁修行者――名前はプックサーティといったーは、相手がブッダその人であることに気が付いた。

そこで彼は立ち上がり、ブッダの御前に進みでて、師の足許に礼拝して、ブッダとは知らずに「友よ」と呼びかけたことを謝罪した。

彼はそこでブッダに入団の許しを乞うた。

ブッダは彼に「(必需品である)托鉢椀と衣の用意があるか」と訊いた。若者が「用意していません」と答えると、ブッダは「それでは入団は許されない」と言った。
プックサーティは托鉢椀と衣を求めて出て行ったが、不幸にも牛に襲われて死亡した。

後になってこの悲しい知らせを聞いたとき、ブッダは「プックサーティは賢明で、すでにニルヴァーナを実現する直前の段階に達しており、死後アラハントとなり、その生涯を終えたあとは、再びこの世に生を受けることはないであろう」と述べた。