施設では、昭和歌謡をよく歌う。藤山一郎、岡晴夫、小畑実、三橋美智也、春日八郎、ディックミネ、フランク永井、島倉千代子、美空ひばりとか。
500曲ほど、ポスターサイズに拡大印刷して、みんなが歌えるようにしている。
戦後の歌謡は、歌いやすい。歌詞もいい。なにより「時代の空気感」が伝わるのがいい。昭和歌謡って、ひとつの歴史遺産のようなもの。
利用者さんに料亭に勤めたことのある方がいて、いつも飲み会になると、手拍子あるいは茶碗を叩いてみんなで歌った。「芸者ワルツ」などは定番だったという。
戦後は、今日よりも明日が必ず良くなるんだという手ごたえがあった時代だ。
今は明日がよくなるという希望はほとんどなく、さらにもっともっと悪くなっていきそう。そんな空気が漂うなかにあって、昭和歌謡を歌うと感慨深い。