過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

今日も暮れゆく 異国の丘に

昭和歌謡」を毎日、20〜30曲くらいはリードしている。ギターで伴奏して歌う。利用者さんも歌う。歌詞は大きく拡大してダンボールに貼り付ける。もう200曲ほどになった。

歌っていると、その時代の空気感が伝わってくる。戦争の始まる頃の暮らしぶり、戦争中の思い、戦後の開放感など。
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「歌は世に連れ、世は歌につれ」というが、その時代に流行った歌に、空気感があらわれる。人々の思い、ねがい、欲、ためいきのようなものが。

歴史を学ぶのは、いまの知るためである。そしてこれから先、どういうふうな時代になっていくか。それを洞察する材料となる

歴史の記述を知る。とともに、人々の意識がどんなふうに流れていったのか。その時代の空気感を知るのが大切と思う。
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昨日、印刷したのは「異国の丘」。この歌はとってもいい。
歌詞もメロディーも、そして歌にまつわるストーリーが胸を打つ。

「異国の丘」は、シベリア抑留の兵士たちの間で歌われた曲だ。
作曲した吉田正は、無名の青年で、シベリアに抑留されていた。
この歌は兵士の間で広がっていった。

兵士たちは、帰り船で本土に帰るる。復員兵の1人が、NHKラジオの素人のど自慢で「俘虜の歌える」として歌った。胸を打つ歌なので、その作曲者は誰?ということになった。
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作曲した吉田正は、まだシベリアに抑留されていた。
数年して、シベリヤから帰国する。その曲は自分が作ったものだと吉田正が名乗り出て脚光を浴びる。それがきっかけとなり、吉田正は、大作曲家への道を歩む。

フランク永井有楽町で逢いましょう)、松尾和子(東京ナイト・クラブ、誰よりも君を愛す)、橋幸夫潮来笠)、吉永小百合(いつでも夢を)など、数々のヒット曲をつくった。

「異国の丘」
作詞:増田幸治、補作詞:佐伯孝夫
作曲:吉田正 唄:竹山逸郎/中村耕造

1 今日も暮れゆく 異国の丘に
  友よ辛かろ 切なかろ
  我慢だ待ってろ 嵐が過ぎりゃ
  帰る日も来る 春が来る

2 今日も更けゆく 異国の丘に
  夢も寒かろ 冷たかろ
  泣いて笑うて 歌って耐えりゃ
  望む日が来る 朝が来る

3 今日も昨日も 異国の丘に
  重い雪空 日が薄い
  倒れちゃならない 祖国の土に
  たどりつくまで その日まで