過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

二人の柔道の金メダリスト

二人の柔道の金メダリストを取材したことがある。

その一人、古賀稔彦さんが亡くなった。53歳。「柔道着を着て死んでいくんだ」という言葉を思い出す。

雑誌の取材で道場をお訪ねした。16年前のことだ。
第一印象は、分厚い胸板、太い腕、さわやかな笑顔。

「小学一年生から柔道を始めた。以来、ずーっと柔道一直線
生涯にわたって、死ぬまで柔の道を歩み続けていきたい。
死ぬまで柔道着を着ていたい。棺桶に入るときも、きっと柔道着のままだろう。
自分の家に柔道場があったら、死ぬまで柔道が続けられる。──そんな思いから、『古賀塾』という町道場をつくった。なにより、いまの子どもたちに、自分が教えられてきたものを、伝えたい」。

道場の中二階で一時間ほどの取材。取材中、小さな子どもたちが、ニコニコの笑顔で階段を上がってきたのが可愛かった。

もうひとりの柔道の金メダリストは、斉藤仁(ロサンゼルス、ソウル 重量級で金メダル)さん。この方も54歳と若くして亡くなった。剛毅なイメージではなく、とても柔和な方であった。